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未知なる読書領域へ。 From Editors No.861

From EditorsNo.861 フロム エディターズ

未知なる読書領域へ。
年末恒例の本特集ですが、今年度は昨年に続き「危険な読書」、で、あります。昨年の同特集を何かの手違いで読み逃した、または読み間違えた方もおられると思うので、あらかじめ説明しておくと、「危険な読書」とは発禁本やエログロ本を紹介する特集ではありません。

いまや本は、薬はおろか毒にもならない、と、思われておりますが、歴史を見渡してみれば、本に潜む力、読書の危険性は明らか。先の大戦においては、本は弾丸と同じであった、と、いいます。実際、ナチスは本を怖れ、片っ端から燃やしたのであり、アメリカは逆にその本を世界中にばら撒いたのです。果たしていまはどうか?

本に何を求めるかは人それぞれかと思いますが、読書がもたらす作用というのは基本、遅効性です。読書とは内容の理解もさることながら、実は本と向き合う時間そのものじゃないかとも思うのです。難読であれ遅読であれ、その時間の分だけ長く、深く、確実に、心を、蝕んで、いく。そして一度潜伏した毒は思わぬ瞬間に鎌首をもたげます。

ネット万能の時代、もはや流行りの本ばかり追いかけたり、多読であることを自慢してもしょうがありません。「危険な読書」とは、たとえ1冊でも人生変えてしまうぐらいの打撃を与える、刺激的な読書の指南書であり、世の中にはまだこんな本があったのか、と、未知なる読書領域への危険な招待状なのです。

 
●︎︎︎町田雄二(本誌担当編集)
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リサイクルファッションブランド『途中でやめる』のデザイナー、山下陽光さんは自著『バイトやめる学校』のあとがきに、読み終わったら「この本をメルカリに売れ」と書き残しました。ひと昔前のように社会を根底から変えようとするのではなく、いまある社会のままに、世界を見るレイヤーを変えてオルタナティブに付き合っていく危険な術について。巻頭は山下さんほか、4名に、政治を考えるきっかけを与えてくれる本を紹介してもらいます。


ブルータス No. 861

危険な読書

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ブルータス No. 861 —『危険な読書』

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