お金は今、めまぐるしい変化の時代です。 From Editors No.870
From EditorsNo.870 フロム エディターズ
お金は今、めまぐるしい変化の時代です。
生まれて初めて、自分のお金で買ったものはなんですか? 私の記憶の中で一番古い買い物は、近所の駄菓子屋で買った30円の駄菓子<さくらんぼ餅>です。ケミカルなピンク色が子供心をくすぐるビジュアルで、爪楊枝で1粒ずつチマチマと食べるのも楽しく、お小遣いを握りしめては買いに行ったものでした。たまに会う祖父母がくれた500円玉は、もったいなくて使えなかったのもいい思い出です。急速にキャッシュレス化が進んでいるいま、スウェーデンや中国では、むしろ電子決済のほうが主流のようです。個人商店や小さな屋台でさえ、携帯電話を通した送金が可能になっています。現金が使われなくなるにつれて「おばあちゃんがくれた500円玉」のようなエピソードは、この先数年のうちになくなってしまうかもしれません。かわりに、「おばあちゃんが送金してくれたときの記録」を残しておく世界になるのでしょうか。「あのひとがくれたラブレター」を大事にとっておくのでなく、「あのひとからのLINE」をスクリーンショットしておく、みたいなことでしょうか。話が逸れました。冒頭でお話した私の思い出の駄菓子<さくらんぼ餅>も、昨今のIT化によって進化を遂げていました。なんと、スマートホンを模したデザインになっているのです。駄菓子にまで、変化の波が押し寄せているいま。何もせずにいるのではなく、少しずつでも、お金との新しい付き合い方について考え始めてみませんか。「新・お金の、答え。」、きっと未来の私たちの手助けになる1冊です。
●鴨志田早紀(本誌担当編集)