理系の目線で、危険な世界が見える。 From Editors No.884
From EditorsNo.884 フロム エディターズ
理系の目線で、
危険な世界が見える。
今年の「危険な読書」は、真っ赤な表紙が目印。付録の小冊子は「理系読書99」です。『人間をお休みしてヤギになってみた結果』『ダンゴムシに心はあるのか』『四次元が見えるようになる本』など、紹介されている本は、一見するといわゆる“危険”のイメージからは遠いかもしれません。ですが、「これまで見ていた世界がまったく違うものに見えてしまう」「考え方を変えられてしまう」という点では、どれもかなり危ない本といえるのではないでしょうか。
たとえば、『Modernist Cuisine at Home 現代料理のすべて』は元宇宙物理学者が科学的な視点で“美味しさとは何か”を解き明かした本。分厚い大判のビジュアル本のような造りで、食材や調理器具の断面図が並んだ美しい一冊です。料理が苦手な人にとっては、目に見えない“美味しさ”を科学的に説明してくれるありがたい本になるかもしれませんし、「まごころを込めて作れば料理は美味しくなる」を信じている人は、幻想を打ち砕かれたような気持になるかもしれません。食卓に並ぶのはさまざまな化学反応が生み出した<化合物>であると考えてみると、日常の風景がちょっと変わってきませんか? この本にピンと来た人には『Cooking for Geeks』や『人間は料理をする』もおすすめです。
まずは、「自分は文系だから……」と構えずに、読んでみてください。ド文系の私でも面白く読めたので、ご安心を。
●鴨志田早紀(本誌担当編集)