東京って、もしかしたら大きな花壇(?) From Editors No.939
From EditorsNo.939 フロム エディターズ
東京って、もしかしたら大きな花壇(?)
「建物が密集した東京には、道端や住居の限られたスペースに寄せ植えを目にすることが多いよね。東京の町を大きな花壇にみたてて、スナップしてみようか。」という編集部の先輩の一言から、特集「続・花と花束。」では、〈東京花壇〉というページを担当することになった。
たしかに、“花を探す”という視点で家や会社の近所を歩いてみると、住宅や飲食店、商業施設の外観や、道端のちょっとしたスペースに花がたくさんある。4月になると家の近くのマンションにはミモザや椿が、5月になると黄色いモッコウバラが咲く。
そんな街中の素敵な花壇を写真と文章で紹介する〈東京花壇〉。しかし、東京は広い。どのエリアに行けば素敵な花々に出会えるか。考えていたとき、手に取ったのが、路上園芸鑑賞家の村田あやこさんの著書『たのしい路上園芸観察』(グラフィック社)でした。この本では、村田さんがライフワークとして路上で観察し続けた全国の“園芸”を、ご自身で撮影した写真と、筆圧の強いキャプションで紹介。この人なら東京の花壇にも詳しいかもしれない。
早速連絡して、企画に協力してもらうことに。いくつかロケハンに行ってみたところ、飲み屋街だと思っていた赤羽が花壇をたくさん観測できるスポットだと判明。玄関に大量の寄せ植えを置いた家があったり、アパートの至る所に大家さんが花や木を飾っていたり、路上園芸のワンダーランドでした。
撮影は、独特な光や被写体との距離感をフィルムに焼き付ける写真家・石田真澄さんが担当。石田さんもまた、ライフワークで花を撮り続けている(チューリップの写真がとても素敵なんです)。こうしてスタートした路上園芸学会“東京花壇編”。このページを参考に、家の近所の花壇に注目して歩けば、見慣れた風景も少し変わって見えるかもしれません。
そうそう、デージーという花は、日の光が射すと花が開くことから「デイズアイ」と呼ばれたのが由来なんですよ。誰かと歩いているとき、花の豆知識を語れたら素敵じゃないですか?