「ビールに携わる人たちの声から、ビールの多様さを浮き彫りに」 From Editors No.944
From EditorsNo.944 フロム エディターズ
「ビールに携わる人たちの声から、ビールの多様さを浮き彫りに」
麦とホップと水。基本の素材はその3つなのに、素材の配合や製法の違いで、仕上がりがまったく違ってくる。取材中、「ビールってこんなに幅広くて奥深いものだったのか!」と、人類の飲料への探究心に改めて感じ入りました。麦の汁を飲んでいるかのように、しみじみと体に浸透するような滋養すら感じられるものもあれば、ホップの香りがファーっと広がる華やかなものがあったり。最近では、副原料のおかげでベリー系のジュースのようで本当にビールなのかと驚かされるものがあったり。
クラフトビール扱うボトルショップに行くと、ブランドや種類の多様さに圧倒されます。ビールの多様さ同様に、携わる人たちのスタンスや言葉も多様です。そんなビールを造るブルワリーのこだわりはもちろんのこと。一方で、ワインには醸造家やワインについて説明してくれるソムリエがいるように、多様化するビールを届けてくれる、ボトルショップやビアバーの人たちの存在感が、昨今いよいよ増していると感じていました。だから、今回は彼らがセレクトするビールについて、もっと教えて! 聞かせて! と、ショップやバーの方々にも、大いに語ってもらう特集となりました。
取材をしたあるバーの店主は、「クラフトビールは“クラフト=手工業”というだけあって、ある程度目指した通りに作れる。だから飲んで、ブルワーの目指すものが見えるビールであって欲しい」と語りました。一方で、ビールが生まれた起源に迫るかのごとく自然界の酵母を使ってパンとビールを造り自然な造りを目指したり、自ら麦やホップを育てて、農業に近づいていく醸造家も。また、醸造に携わりながらブリティッシュスタイルで樽のビールを世話するセラーマン兼パブオーナーもいて、ビアバーひとつとっても、様々なスタイルがあることに刮目しました。
いろんな方に語っていただいたこの特集で、最も心に残ったのは、日本が誇るベテランの注ぎ名人が語った言葉でした。詳しくは、ぜひ本誌をご覧ください。