「スタイルと生き方」という特集をつくるにあたって、蘇った記憶があります。それはさかのぼること十年ほど前。私が大学生の頃にヨーロッパを旅していてとりわけ印象深かったこととして、パリジェンヌたちのファッションスタイルがありました。

街で思わず振り返ったある女の子は、着込まれたベージュのトレンチコートにグレーのセーター、そこにヴィンテージと思しき黒いバッグを斜めがけして、ブロンドの髪は無造作なお団子に……と、トレンドとは無縁の組み合わせ。でもよく見ると、サイズ感とか色合わせが上手に計算されていて、自分流に着こなしている。そんな女の子たちの姿が、今でも脳裏に焼き付いています。当時トレンドに振り回されていた私は、ブレないパリジェンヌたちを見て自分がちょっと恥ずかしくなり、「スタイル」というものについて意識するように。

時は流れて2020年春。この特集では、かつて憧れたフランス人のスタイルをテーマにしたページを担当しました。彼女たちの着こなしをそのまま真似しましょう、という趣旨ではなく、「スタイルに対する考え方」をパリジェンヌやパリを偏愛する方に教えてもらいました。「パリジェンヌの代名詞」といわれる噂のジャンヌ・ダマスも登場。14才から好きなファッションスタイルは変わらない、と語るジャンヌの生き方、ファッションイズムはぜひ本誌でご覧ください。

そのほかにも色々な視点から考えてみた今回の特集。「これだ」と思える、自分なりのスタイルを見つけるヒントになれば嬉しいです。