From Editors No. 808 フロム エディターズ
From Editors 1
少し変わった植物を
育ててみませんか?
ファッション、アート、建築、インテリアと、デザイン好きの人なら、同じ視点で植物を見たらきっと面白いと思うはず。実際、スタイリストで園芸好きは多い。だって本当にすごい形をしているんだから。ある意味、一番モードなのは園芸だったりして。植物は高くても数万円も出せばトップクラスが手に入る。洋服や家具と比べれば安いものです。「でも、枯れてなくなっちゃうこともあるんでしょ?」。それはそう。置き物ではなく生き物だから。買ったが最後、一生面倒をみないといけなくなる。置き場所をちょくちょく変えてみたり、自分で土を配合したり、そうやって日々、植物と対話するのも楽しみのひとつです。
今回の植物特集は、インテリアプランツとかグリーンライフとか、昨今流行している植物をどう生活に取り入れるか、どう飾るかという特集ではなく、言ってしまえば、ものすごい形をした植物を実際に育ててみたいという、少しマニアックな特集です。紹介するのは植物好きの間で“ビザールプランツ”(奇妙な植物)と呼ばれる秀逸なデザインの植物ばかり。美しいのか、はたまた醜いのか? こんなに驚いたり、はしゃいだりして作った特集はなかなかありません。ぜひ知られざる世界の扉を開けてみてください。
From Editors 2
植物は癒し系だなんて誰が決めた!?
「趣味は植物を育てることです」とか「休日はもっぱら庭いじりです」なんて言うと、「あら、良いお趣味をお持ちで」と、なんとなく心優しい、おだやかな人と勘違いしてもらえる園芸趣味。けど、いつからこんな”植物=癒やし系”な構図になったんだろう?
グルグルと螺旋状に巻く葉だったり、迷彩柄の葉模様だったりと、 まだあまり知られていないけれど、癒されるどころか、ゾクゾクするような興奮を与えてくれる植物はたくさんある。園芸は、そんな、まだ見たこともない珍妙な植物を見たい! 知りたい! 育ててみたい! という、本来的には飽くなき欲望丸出しな趣味だ。今回、南アフリカの自生地ツアーに同行してもらった珍奇植物バカ一代、〈スピーシーズナーサリー〉の藤川史雄さんも言ってました。「そんな優雅で心の優しい人たちの世界じゃない。もちろん自然界で育っている姿を見るのも楽しいけど、自分の手元に置いて育てて作りこみたい、って絶対なるんだから。自然の神秘を間近でこの目で確かめたいっていう、実はエゴの塊みたいな趣味。もう本能的なそういう衝動は抑えられないんだから」
そもそも、かつて、お雇いのプラントハンターたちが世界中から植物を集めまくった時代から、現在に至るまで、振り返ればたしかに好奇心に突き動かされたエゴ丸出しの世界。もちろん乱獲で自生地が無くなっちゃうなんていうのはもってのほか。現地での増殖なども含めて、もっと自生地を守るためにいろいろ努力をしないといけないこともあるでしょう。でも、僕たちはもっともっともっと、珍しくて、妙ちくりんな植物が見たいんです、育てたいんです。そんなわけで、“植物は癒し系だなんて誰が決めた!?”をテーマにした一冊が出来ました。まったく癒やされない植物特集、たまにはいかがですか?