マガジンワールド

怒りは火である。From Editor No.840

From EditorNo.840 フロム エディター

怒りは火である。

のっけからおだやかでない見出しで恐縮です。
「感情をコントロールしなさい」なんてことは、小さな頃から親に口酸っぱく言われてきて、テニスをやっているときはメンタルタフネスの本を読み漁ったりしたものだけれど。カーっとなったときはやっぱり、うまいことそれを消火することなんてできた試しがないし、どうしようもない緊張でバクバクしている胸に手を入れて、心臓引きずり出して遠くに投げ捨てることもできず。涼しい顔の”フリ“をするのが関の山、年齢とともにそれくらいのことがうまくなったか。

セルフコントロールだとかアンガーマネジメントだとか、どうにもこうにもしっくりこない。テクニカルなものでなく、もっと根源的なところに問題があるんじゃないか。

禅、ZEN、マインドフルネスのことを調べていたら、おぼろげなのだけれど、道標みたいなものが見えてきた。その道標みたいなものを提示してくれた藤田一照さん、川上全龍さん、GoogleのBill Duaneさんたち……今回は彼らに運よく協力していただけた。

取材をしていくうち、おぼろげだったものにうっすらと輪郭が浮かび上がってくる。その一端が、Billさんが言った「怒りは、火のようなもの」。原始時代の人類にとっては、この火のような感情は大事なものであったし、現代人にとっても、反骨を大きなパワーに代えることだってあるだろう。怒り(火)は悪いものではない、でも取扱い注意(怒りを肯定的にとらえるというのが、目から鱗)。大事なのは無理やり消そうとするのではなく、ガスコンロのつまみのようなものを手に入れられるかどうか。そのプロセスに坐禅や瞑想があるんです、と。

まずは坐って、自分と親しくなる。特集最初の4ページで、ひとつの答え(のようで答えでない)はある。さらに読み進めてもらえたなら、ぼんやりした道標の輪郭が見えてくると思う。だって、それこそが、この特集を作ってきた僕が辿ってきた道なのだから。

 
●︎︎杉江宣洋(本誌担当編集)
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二歩進んでは三歩下がる。わかった気がすると、またわからなくなる。そんなときは、坐ってみる。禅特集はそうやって作ってきました。なにも禅のことだけでなく、人生のいろいろな場面に相対する時にもまずは坐ってみる。この習慣を持つのは、いいものだと思ったのが今回の特集を作っての一番の収穫です。


ブルータス No. 840

みんなのZEN。

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