忘れられない買物はいい店に宿る。これ、本当でした。 From Editors No.843
From EditorsNo.843 フロム エディターズ
忘れられない買物はいい店に宿る。
これ、本当でした。
ネットショッピング全盛の世の中。自分とて例外ではありません。気になるものがあれば検索、いつでもどこでもポチポチポチで翌日届く。不在がちな身ゆえ、配達員の皆様へは大変ご迷惑をかけています。
そんな趨勢に抗うようにお客を集める店はあります。その秘密を探るために、今回、噂の店を訪れました。①新しい和装の可能性を提案する店。店に行き、店員のスタイリングを見て、着物って難しいという先入観が崩される。着物のインナーがハイネックニット、足元はスタンスミスでいいなんて! ②商品がすべて壁に埋まった棚の中に収納されている店。店主曰く「うちはモノではなく、体験を売っているんです」。なるほど。お客が棚を開けて初めて買物体験がはじまるのか。ちなみにその棚の構成は一週間ごとに変わるので、いつ訪れてもドキドキワクワクがあります。③シーズンレスなシャツやパンツが評判な店。コンセプチュアルにディスプレイされているベーシックアイテムも見物ですが、実はバッグヤードには一点もののアイテムが隠れています。これも、店に行って店員とコミュニケーションを取らなければわからない。
他にもたくさんの店を訪れたけれど、評判の店には例外なく新しい発見がありました。商品そのもの、というよりむしろ、新しいスタイルを発見できたり、店の新たな楽しみ方だったり。そして、例外なく店員さんとのやりとりが楽しい。ECは便利だけど、その買物は記憶の中にはなかなか残らないもの。「いい買物したな」という体験はまだまだ店には叶わないと思うのですが。
ただ、そういう店では、例外なく財布の紐が緩んでしまうのがタマに傷。忘れられない買物の回数だけ、手持ちの諭吉は減っていく。春なのに、懐は寒くなるばかり。