建築を最終目的地に旅に出る。 From Editors No.850
From EditorsNo.850 フロム エディターズ
建築を最終目的地に旅に出る。
遅い冬休みをとって、2月にヨーロッパ建築巡りをしてきました。
フランスで〈サヴォア邸〉〈ブラジル学生会館〉〈スイス学生会館〉(以上ル・コルビュジエ)、ダニエル・ビュレンの作品で覆われた〈フォンダシオン ルイ・ヴィトン〉(フランク・ゲーリー)。ポルトガルに移動して〈レサのスイミングプール〉〈ポルト大学建築学部棟〉〈リスボン万博1998・ポルトガル館〉〈セラルヴェス現代美術館〉(以上アルヴァロ・シザ)、リスボン駅(サンティアゴ・カラトラーヴァ・ヴァス)、〈カサ・ダ・ムジカ〉(レム・コールハース)。旅のメインイベント・スペインはバスク地方に移動して〈ビルバオ・グッゲンハイム美術館〉(フランク・ゲーリー)。
最終目的地は建築、ですが寄り道も充実させるべく。パリでサッカー・チャンピオンズリーグ(バルサが0-4でPSGにこっぱみじんにヤラれた試合)、サン・マメスでアスレチック・ビルバオの試合、サンセバスチャンで世界一の飲み屋街(これがメインなのでは、と言われましたが)を組み込んだツアー。
現地で圧倒されたのは、やはり〈ビルバオ・グッゲンハイム美術館〉でした。が、帰国後ずっと心に響き続けたのは、アルヴァロ・シザの〈セラルヴェス現代美術館〉の白い壁とその壁に写った木の影と青い空。ポルトガルで生まれ、ポルトガルの空気を吸い、青空のもと、カラリとした光を浴びて育ってきたからこそ、この建築は生まれたんだろう。そう思ったときに、はたして日本で生まれ育った日本の建築家は、日本でどんな建築を作ってきたのだろうか、そしていまなにを作ろうとしているのか、と思いました。これが今回の特集の企画の種です。
伊東忠太が、Architectureから建築という言葉を生み出して100年超。駆け足で日本の建築史を振り返りつつ、いま、建築家がなにをしようとしているかをまとめたのが、今回の特集です。すべて、観たり触ったりと体験できる公共・商業建築を集めました。僕の建築ツアー日本編NO.1は、直島の〈地中美術館〉(安藤忠雄)。ここでの建築&アート体験は、いままでの美術館で味わったものとはまったく違う、生まれて初めての素晴らしい感動体験でした。日本には世界に自慢ができる、すごい建築がたくさんあります。ぜひ、この本を手にとって、建築を巡る旅に出てください。