のぼせるまで入っていたい ♨ 憧れ建築宿・吉村順三の温泉へ。 From Editors No.858
From EditorsNo.858 フロム エディターズ
のぼせるまで入っていたい ♨
憧れ建築宿・吉村順三の温泉へ。
〈湘南茅ヶ崎の家〉、〈フジタ箱根山マンション〉。
建築家・吉村順三が手がけた家。
『居住空間学』シリーズで、取材撮影をしました。どちらも居心地の良さを感じる、素晴らしい家々でした。が、当然、住人がいる家。じっくりと時間をもらって、お話を聞き、いろいろ場所を見学をさせてもらえましたが、見ることはできても、どうしても体験できない場所があります。そう、それがお風呂。
建築家・吉村順三が手がけた家。
『居住空間学』シリーズで、取材撮影をしました。どちらも居心地の良さを感じる、素晴らしい家々でした。が、当然、住人がいる家。じっくりと時間をもらって、お話を聞き、いろいろ場所を見学をさせてもらえましたが、見ることはできても、どうしても体験できない場所があります。そう、それがお風呂。
そして、この温泉特集で初めて、吉村順三のお風呂に入ることができました!
佐賀・嬉野温泉・大正屋。
オリジナルのソファ、ファブリック使い、目線の置き場を考えたデザイン……ディティールによればよるほど、建築好きにはたまらないこの宿。そして、ここは竣工当時オリジナルと趣が変わらない場所でもあります。
吉村順三に設計を頼み、そして今も、この場所がこの場所であり続けるために、目を光らせているのが、今年97歳になるという大女将の山口英子さん。
名建築と言われる建物が、オーナーが代替わりしたり、持ち主が代わることで、残念ながら竣工当時そのままの姿が見られる事自体が奇跡となっている昨今。目で耳で手で足で、そして体全体で、なんなら真っ裸で感じられるこの至福。
風呂に入って、のんびり……、ではなく。
浸かる場所を移動、出たり入ったり、寄ったり引いたり。
泉質も温度もほどよく、ずーっと入っていられる空間。
いいお湯でありました。
●︎︎︎杉江宣洋(本誌担当編集)