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男性のグルーミングはどこまでやるべきか? From Editors No.876


From EditorsNo.876 フロム エディターズ

男性のグルーミングは
どこまでやるべきか?

流行りの洋服が似合わなくなったのはいつの頃からだろう。髪やヒゲにも白いものが交じるようになり、少し前まで様になっていると思っていた無精ヒゲもいつの間にやら煩わしい存在に変わっていた。まあ40歳も過ぎれば、洋服に気を使うより、その内側に気を使った方がいい。大人にとってのファッションとはまずは身だしなみだから。

理髪店には髪が伸びる前にいって、次の予約を入れてから帰る。ヒゲは伸ばすものではなく整えるもの。自分でハサミを入れるコツぐらいは知っておく。ちょっと贅沢だけど、理髪店のネイルケアで手に入れたピカピカの健康的な爪は、思っていたよりずっと良かった。自分でやるとなると道具も揃えないといけないし、それなりに時間もかかる。だからグルーミングは義務感でやるものではなく、むしろ贅沢な楽しみだ。

スキンケアについてはどうか? 香りに癒やされ、肌の調子も良さそうだけど、人に話すにはまだ少し勇気がいる。コットンでパッティングする気には今後もなれそうもない。資料として読んだ60年代のアメリカのファッション誌にはこんなことが書いてあった。男性にとって化粧品は自分で揃えるのではなく、洗面台にある妻のものを少し借りて使うぐらいがちょうど良い、と。いまでも気分的にはその通りかもしれない。

男性はどこまでやるべきなのか? 正解はないと思うけど、男性のグルーミングは美しさを求めるのではなく、清潔感さえ持てればいい。清潔感をまとうことは流行りの洋服を着るよりずっと大切なこと。髪、ヒゲをしっかり整え、頭皮や体の匂いにも気を使い、キレイな下着を身につける。さらに言えば、気のきいた香りを自分で選ぶことができ、適量をまとえること。香水はつけない、という人も多いと思うけど、実はとても奥深く面白い世界。今回はその入口となる小冊子も作ってみたのでそちらの方もぜひどうぞ。

●町田雄二(本誌担当編集)
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巻頭で6人に愛用のグルーミング道具を聞いた。木製テーブルの上に並んだ道具は文筆家の松浦弥太郎さんのもの、白いテーブルの方はデザイナーのトム・ブラウンさんのもの。日頃、他人のグルーミング道具を細かく聞く機会もないので面白い。松浦さんには自分たちの知らない良いものをたくさん紹介してもらった。トム・ブラウンさんのシンプルなセレクトには、男のグルーミングとはどうあるべきなのかを教えてもらったような気がする。


ブルータス No. 876

GOOD GROOMING GUIDE

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