刀剣にハマる入り口は、どこにある? From Editors No.877
From EditorsNo.877 フロム エディターズ
刀剣にハマる入り口は、
どこにある?
「……トウケン???」
今回の特集の構成・執筆を担当してくれたライターの橋本麻里さんから、昨年企画の提案を受けたとき、私の頭の中ではまだカタカナでした。
恥ずかしながら、当時はゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』の存在も、そこから生まれた“刀剣女子”たちの情熱も知らず。全国の美術館で、刀を見るために数時間待ちの行列ができているなんて状況を把握してなかったんです。
それでも、「刀剣」の世界に触れていくうちに、これは一部の古美術愛好家と刀剣女子だけが知っているのではもったいない魅力があると気付きました。
刀が持ち主を変えながら歴史の中で紡いできた物語を楽しむ。匠の技が込められた美術品としての鑑賞を楽しむ。鬼や妖の類も山ほど出てくる摩訶不思議な伝承を楽しむ……と、刀剣はさまざまな角度から楽しむことができる。その「楽しみ方」を今回の特集の切り口にしています。
京都国立博物館の主任研究員・末兼俊彦さんによると、刀剣は日本美術のジャンルの中でも学問として未熟だったり、不明な部分が多いのだそうです。研究者にとっては悩ましいとは思いますが、「それって想像力的に自由!」と思ってしまったりもします。
ちなみに、私の推しは、斬る真似だけで相手の骨を砕いたという伝承の残る《骨喰(ほねばみ)藤四郎》。その厨二病的通り名とエピソード、そして刀身に彫られた迫力のある龍! こんな刀に惹かれる意外とマッチョな自分に気づくのでした。
●中西 剛(本誌担当編集)