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ショップにはプライスレスな「学び」があります。 From Editors No.878

From EditorsNo.878 フロム エディターズ

ショップにはプライスレスな
「学び」があります。

僕にとっての「服の学び場」は、ショップです。スタッフの個性が光るコーディネートから、作り込まれたお店の世界観から、そこに集まるお洒落な顧客から、いろいろなことを学びました。せっかくなので、思い入れの深い2軒のショップのお話をさせてください。

まずは、僕がファッションにのめり込むきっかけをくれたセレクトショップ。お店のコンセプトや商品のセレクト、なによりスタッフの人柄に惹かれ、大学在学中に通い詰めました(多いときには週4日も)。もちろん、そんなにお金もなかったので行く度に買い物をするわけではなく、お喋りをするだけ、なんて日も。服や映画や音楽や、ときには好きな女の子の話まで……。それでいて2時間近くもいるわけですから、今思えばとても迷惑な客でした(笑)。インターネットやSNSを見れば情報がすぐ手に入るこのご時世。わざわざお店に足を運ぶ理由は、素敵なスタッフとの他愛のない会話にこそあると思います。

2軒目は、僕の憧れのショップ。僕が住んでいた愛知県にはそのお店がなく、お金を貯めて、東京にある本店に行くのが楽しみでした。なかでも、はじめてお店に訪れたときの衝撃は今でも忘れません。今まで行ったどの店にもない独特な雰囲気の店構え、雑誌やスマホの画面越しには感じられない威圧感に圧倒されました。中に入るとこれまたトビキリかっこいい店員さんが出迎えてくれ、渋い声で「いっらしゃいませ」と一言。なぜだか、背筋がピンと伸びました。しばらく店内を徘徊しお目当てのアイテムを見つけるも、緊張のあまり「試着していいですか」と切り出せず、袖も通さずに購入。あとで着てみると、案の定ワンサイズ大きかったのもいい思い出です。次こそは堂々と買い物をするぞと、兜の緒をしめる気持ちで愛知に帰りました。

僕はやっぱりショップでの買い物が好きです。衝撃的な服との出合いや、店員さんから教えてもらう生きた情報など、お金では買えない「学び」が必ずあります。そんな思いもあり、今号でも『英国ファッションの猛者が集う個性を学べるショップ10選』というショップ紹介のページを作りました。是非お店に足を運んで、スマホを眺めているだけでは到底得られない、特別な体験をしてください。

●︎︎︎辻田翔哉(本誌担当編集)
BRUTUS 878号:From Editors
憧れのお店〈ネペンテス〉に初めて訪れた際に撮った一枚。実は今の場所に移転する前にも来店を試みたのですが、すでに改装中で行けず……。そしてお店は今年で創立30周年。今号でもアニバーサリーページを作り、光栄にも担当させていただきました。これもまた、忘れられない大きな「学び」体験です。


ブルータス No. 878

LONDON 服の学び場。

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ブルータス No. 878 —『LONDON 服の学び場。』

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