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人生を変えるかもしれない、“ぼうけんのしょ”を探して。 From Editors No.907

From EditorsNo.907 フロム エディターズ

人生を変えるかもしれない、
“ぼうけんのしょ”を探して。

年末恒例となった「危険な読書」特集を担当しました。もちろん事前のリサーチは重要ですが、それ以上に大切さだと思っているのが特集一発目の取材です。実際に人と会ってみて、話す。頭の中でぼんやりしていたイメージが具体像を結び、「ああ、自分はこういうことがしたかったのか!」「だったら、こうした方がいいのかも」「なんなら、今から大まかに軌道修正だ!(ごめん、相棒の編集Kさん)」などと、まさに自分内Eureka(ユリイカ)が起こるのであります(ちょっと大げさ)。

見方によっては「実験台かよ!」と突っ込まれかれない、「はじめてのしゅざい」のお相手は編集者・森永博志さん。80年代のブルータスでNYでバスキア、中国に潜入取材など、それはもう、無茶で刺激的なページを作ってきたレジェンドです。もうすぐ70歳を迎えるというのに、ラジオにトークイベント、個展と精力的に動き続ける森永さんは、気に入った本の表紙を描いたり貼ったり縫ったり(!)カスタマイズしていて、名付けて「勝手に自家装幀本」。その自由なマインドはヘンリー・ミラーから稲垣足穂まで、15歳(早熟!)の頃の読書から作られたこと、本には“魔力”があるということを教えてもらいました。

それからは、人それぞれにとっての、本の「魔力」を聞き続ける日々。今、「最も危険な作家」と言える阿部和重さんの最新作『オーガ(二)ズム』についてのインタビュー、美術家・黒瀬陽平さんと写真家・大山顕さんによる「日本に欠けているのは復興ではなく慰霊である」、ライター佐久間裕美子さんの「“分断を再接続するための読書」……さらに新企画として「賛否両本」と題し、温暖化、消費増税、データ資本主義……世間を揺るがすトピックの賛成派&反対派、両方の推薦本を読み比べてみました。

そう、年末年始はまとまった読書のチャンスです。本の“魔力”を信じて、あなただけの「ぼうけんのしょ」を見つけてください。

●斎藤和義(本誌担当編集)
BRUTUS 907号:From Editors
BRUTUS 907号:From Editors
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写真上・これは学生のころ、衝撃を受けた「スネークマンショー」のカセットブック。プロデューサーの桑原茂一さんはじめ、当時のクリエーターが一堂に会した伝説の本です。写真中と下・この本を作った編集者・森永博志さんのアトリエと、ご本人自ら既成本を装幀し直した「自家装幀本」を取材。学生時代、80~90年代初期のブルータスを「何が書いてあるかぜんぜんわからんーーー!」と京都の片隅で半分絶望しながら読んでいた自分としては、数十年後にその張本人にまさかお会いできるとは思わず、大変感慨深い日となりました。


ブルータス No. 907

危険な読書2020

700円 — 2019.12.16
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ブルータス No. 907 —『危険な読書2020』

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