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とにかく細かい職人技に感嘆! From Editors No.907

From EditorsNo.907 フロム エディターズ

とにかく細かい職人技に感嘆!

私が入社した頃は、誌面のレイアウトはデザイナーさんが写真を切り貼りした紙に色指定をしていました。今号で担当した「奇怪なアートブック」というページでは、まだそんなアナログデザインの時代に作られた本が数冊あった。なかでも驚いたのが、横尾忠則さんが装丁を手がけた細江英公の写真集『薔薇刑 新輯版』。箱を開けると色彩豊かな横尾さんによる絵が。当時は今ほど印刷所で刷れる色の数が少ないうえ、脳内で色合わせをしながら下書きに色指定をして、刷り上がりで確認していたという。今はパソコン上で簡単に色を入れ替えることができるから、どれほど想像力を膨らませながらの作業だったのか、計り知れない。最近出版されたおすすめのアートブックも装丁が蛇腹だったり、一冊の中で紙質を変更していたりなど、細かい仕掛けがたくさんあって、何度もページをめくりたくなるものばかり。

そんな何度も読むという視点から、今回の取材でもっとも驚いたのは、文筆家でもありゲーム作家でもある山本貴光さんのマルジナリアという読書術。本の余白に書き込みをしていく昔から存在する読書法。とある一冊には、本に出てくるワードから逆索引できるように、裏表紙をめくると多くのワードとそのワードが出てくるページ数が細かい文字で書かれていた。山本さんはすべての物事を体系立てて考えるため、文字や記号を使って書く、という行為を大事にしているという。面倒くさがり屋の私には考えられない読書法! これまで1冊の本に何度も向き合うことをしないタイプだったのですが、気になる箇所を読み返したりして自分の中で咀嚼をしていくことこそが、危険な読書の醍醐味なのかもしれないと思った取材の数々でした。

●川端寿子(本誌担当編集)
BRUTUS 907号:From Editors
坂口恭平さんの取材で熊本へ。江津湖に案内していただいたのですが、一気に疲れが吹き飛ぶほどの神々しい場所!「毎日行く」と聞いて納得。


ブルータス No. 907

危険な読書2020

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ブルータス No. 907 —『危険な読書2020』

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