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奥深き、食い倒れの町。 From Editors No.911

From EditorsNo.911 フロム エディターズ

奥深き、食い倒れの町。

10月末。最初のロケハンの際、深夜にもかかわらず、人で溢れ返っていた立ち飲み〈Wapiti〉。とにかくみんな楽しそうに飲んで、笑って、初めての人とも臆せず乾杯! なんとも人懐っこい、大阪らしい風景。そんな楽しい夜のロケハンを進めていくと、大阪のカレーはとにかくスゴイから! と力説する人、多数。なかでも、阿倍野のかっきーのカレーがおいしいらしい。常設の店はなく、〈青空食堂〉という立ち飲み店に不定期出店する〈堕天使かっきーin青空食堂〉と聞き、早速、ロケハンへ。

ビニールシートの中の小さなカウンターには、8人くらいがギュギュッと立ち並び、酒を片手に楽しげな様子。カレー通が声を揃えて「かっきーのカレーは、カレーじゃない。もはや新しい創作料理やね」という噂のカレーを心待ちに、行列ができている。1時間弱並んでようやく入れ、アテの麻婆巾着を食べながら、待つこと約30分。カレーのメニューはひとつ。「北海道、ニシジルシ、harappiコラボオマージュ!! 鶏煮込み二尾カレー!! 羅臼昆布と鱈の炊き込み混ぜ飯!! たち(タラ白子)とソバの実の和風ダル!! 切干大根と道産フロマージュブランの和えもん!!」とにかく長い! その書いてあるままのカレーが到着。こんなにカオスで大丈夫? と思いながら、かき混ぜて食べてみると、極上のミクスチャー感。確かにカレー。だけど、カレーとくくるには、もったいないほどの創作性。ルーにもごはんにも出汁が効いていて、とにかくおいしい。「“おいしい”、よりも“面白い”と言われたら嬉しい」というかっきーさんのことばを聞いて、なんだかとても大阪らしさを象徴しているな、と思いました。そこから、カレーの旅がはじまり、様々なユニークなカレーと出会いました。詳しくは、ぜひ、誌面で。

それにしても、大阪はなんでこんなに立ち飲み文化が発達しているんだろう、と思いながら、取材を進めたところ、芸人・銀シャリによる「大阪人はいらち(せっかちで気が短いという意味の方言)である」という説にたどりつき、納得。早いし、安いし、長っ尻無用の“立ち飲み”は、大阪が誇る無形文化遺産に認定してもいいのでは? と勝手に思うほど、素晴らしい文化でした。新しいスポットだけではなく、万博や味園、銭湯など、大阪では昭和遺産も必見です!

●川端寿子(本誌担当編集)
BRUTUS 911号:From Editors
この日のカレー。ほろほろに煮込まれた鶏肉とフロマージュブランを一緒に口にすると、フレンチを食べているような気分に。一皿でいろんな気分を味わえる、最高のミクスチャー感に感服! かっきーがこれまでに作ったカレー全メニューをリストでいただいたのですが、メニュー名を読んでいるだけで、味の妄想旅行ができました。
BRUTUS 911号:From Editors
堺筋本町の立ち飲み店〈Wapiti〉にて。右から、関西のリージョナル誌・Meets編集長の松尾修平さん、〈Wapiti〉の店主・秋谷直弘さん、〈spectacle KITAHAMA〉のオーナー・古田島善之さん。夜の大阪にはこんな笑顔が溢れてます! ちなみにMeets編集部と組んだ企画『もうひとつの大阪の正解』では、Meets編集部からよりディープな大阪を教えてもらいました。


ブルータス No. 911

大阪の正解

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