マジェマジェしてねぇ〜♥ From Editors No.918
From EditorsNo.918 フロム エディターズ
マジェマジェしてねぇ〜♥
東銀座には日本最古の印度料理専門店〈ナイルレストラン〉があります。気分的には“カレー”を食べに行くというより、名物「ムルギーランチ」を食べたいがために足繁く通っている感じ。自分にとってはチキンカレーを超越した、特別な料理なのです。番頭のラジャンさんは「ジェンタイテキニマジェマジェシテネ(全体的に混ぜ混ぜしてね)」と、お客さんに促します。もちろん20年来の常連ともなれば、お作法について指導されることもないけれど、このマジェマジェして食べることの楽しさ、おいしさは、通い始めた頃から変わりません。関東圏で育った人は、カレーをグチャグチャに混ぜて食べて、親に叱られたことがあるのではないでしょうか? “お行儀が悪い食べ方”というイメージが付き纏いますが、少なくともインド料理は混ぜて食べるもの。そろそろ、要らぬ背徳感から解き放たれて、カレーを楽しんでもらいたいと思います。
ちなみに、今回の特集でマジェマジェしているのは、お皿の中だけではありません。例えば、国境を超えてローカルフードと混ざり合ったカレーを紹介しています。DRY&WETという形状が異なるカレーを同居させたひと皿にも可能性を感じました。長い歴史を見れば、料理や音楽、アートなども異文化が混ざり合うことで、新しいカルチャーが生まれてきたことは明らかです。もしかしたら、カレーはもっとも身近にダイバーシティを体感できるものの1つかもしれません。そして、日本全国津々浦々に個性的なカレー屋さんが存在し、中でも東京は世界でもっとも多くの種類のカレーを楽しめる街になりました。マジェマジェしながら、読者のみなさんがいろんな異次元を旅できますように。