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あなたの忘れられない朝食は? From Editors No.920

From EditorsNo.920 フロム エディターズ

あなたの忘れられない朝食は?

僕の父はハンバーグとコロッケとまんじゅうが大好きで、食前に甘いものを食べちゃう、子供みたいな人でした。そんな父が作ってくれた“2色トースト”が、僕の忘れられない朝食です。

毎日ごはんを作ってくれる母が体調を崩した日、夕食は外食でしたが、朝だけは決まって父が僕と弟の朝食を作ってくれました。朝起きてダイニングに行くと、母ではなく父が台所に立っている違和感がおかしくて、どんな朝ごはんが出てくるんだろうと、ワクワクしていました。出てきたのは、こんがり焼けた食パンの上に、チョコレートクリームと苺ジャムが半面ずつ塗られた異色なトースト。母よりも雑に、たっぷりと塗られ、濃くて大味。チョコレートと苺の境目なんて、なんの味かわかりゃしない。一緒に出てくるミルクティーも砂糖たっぷりの甘々。それでも僕も弟も大好きな味でした。「できたぞー」と嬉しそうにトーストを持ってくる父の姿も忘れられません。

いま思えば、チョコレートクリームが好きな僕と苺ジャムが好きな弟、二人の好きなものを一緒にしちゃえ! という、父親の優しさから生まれたトーストだったのかもしれません。もう食べることのできないあの2色トースト、いつか僕にも子供ができたら食べさせてあげたいな、と密かに企んでいます。

きっと誰にでも、忘れられない朝食ってあると思うんです。本誌ではそんな忘れられない朝食について、8人の著名人がエッセイを書いてくれました。読むだけで、お腹と心がいっぱいになる、ハートフルな内容ばかりですので、ぜひご一読を。

●辻田翔哉(本誌担当編集)
BRUTUS 920号:From Editors
父の2色トーストを作ってみましたが、なにか違う……。僕が料理が下手なのか、父が実は上手だったのか。いつの日か父を超えられるよう、練習あるのみ。


ブルータス No. 920

最高の朝食を。

700円 — 2020.07.15電子版あり
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ブルータス No. 920 —『最高の朝食を。』

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