マガジンワールド

エレキの若大将。 From Editors No.921

From EditorsNo.921 フロム エディターズ

エレキの若大将。

アコーステック・バイク?
e-Bikeに対して、アシストのないアナログの自転車のことを最近はこう呼ぶらしい。フレームの替わりに弦でも張ってあるのかと思った。unpluggedってことですね。
ペダル・バイク?
これまた従来の自転車のことをこう呼ぶらしい。アシストがなくたって、立派にペダルをこいで走るオールドスクール(こう呼ぶのも失礼か)の自転車にしてみれば、このネーミングには憤懣やるかたないはずです。まさか区別されるとは! e-Bikeにだってペダルはあるのに。

自転車はちょっとしたエレキブームです。電動アシスト自転車がe-Bikeと呼ばれた途端、魔法がかかり、産業革命的な破壊力でテック化してます。ママチャリのサポートレベルからフェイズを変え、動力だけにとどまらず、スタイルさえもアシストしてくれるレベルまで進化してます。すごいもんです。特集にあたって、感じを出すため大昔のMTBを引っ張り出して、編集部や取材先まで自転車で移動していたけど、スーツを着た電動のシェアバイクに軽い気持ちで抜かれて悔しい思いはするし、東京って坂が多いから、気持ちも折れる。で、試しに乗ったところ……、魔法でした! 普段乗りとしてはe-Bikeは最善の選択かもしれません。

「自転車ってアナログの塊のようで、そこが魅了だったのに、e-Bikeってどうなの?」デジタル化(正確には違うけど)って、いつもこんな騒動になりますよね。かくいうボクもちょっと懐疑的でした。「汗かいてなんぼじゃ!」と。でも、この特集をやってみて気にしないことにしました。電動のアシストを得たからといっても自転車ってシンプルな乗り物。だからこそ、いろいろな嗜好やスタイルで広く、深く、熱狂的に取り込まれるわけです。自転車界のグル、ウルトラ・ロマンス(これまたネーミングに魔法がかかってる?)はこう言ってます。
「自転車は心と体、魂を解放してくれる美しい道具。反復運動で前進するが、なぜ倒れないかわからない」。うーむ、ボクもなぜ倒れないかわからない。そう、解放されたいんです。e-Bikeにしろアコースティックバイク? にしろ、風を切って走るっていうのは、やっぱり気持ちいいもんです。

●︎古谷昭弘(本誌担当編集)
BRUTUS 921号:From Editors
自転車界のグル? アドベンチャーライドのリビング・レジェンドのウルトラ・ロマンス。今もひたすら大自然を疾走する。彼をもっと知りたかったら、特集をご覧ください。


ブルータス No. 921

いい自転車。

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