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深い音楽体験ができる場所へ。 From Editors No.932

From EditorsNo.932 フロム エディターズ

深い音楽体験ができる場所へ。

音楽に夢中になったのは、中学生の頃、偶然テレビで見かけたQueenがきっかけ。CDを買ってはライナーノートまで読み込み、何度も何度も聞きました。そこから洋楽の沼にはまっていくのですが、なによりも楽しかったのは、洋楽好きの友人との会話。どのバンドが好きか、これが好きなら、あっちも聴いてみろ、そんな会話をよくしていました。
これは個人的な話ですが、音楽は他人と語り合ったり、教えあったりすることでより深い体験をもたらしてくれます。

今回取材を担当した「酒と音楽を語るリスニングバーへ」。ミュージシャン、俳優、落語家、クリエイターなど、12人の音楽好きに、行きつけのリスニングバーで、その魅力について語ってもらいました。全員が口を揃えて言っていたのは、その店に行くと聴いたことのない音楽に出会ったり、店主と好きなアーティストやアルバムについて語ったりできるということ。中でも、ジャズピアニストの上原ひろみさんは
「今は多くの人が音楽を耳だけで聴いていますが、私は体で音を感じたり、その場にいる人と音楽を共有をしたりすることを含めて音楽の魅力だと思っています」
とおっしゃっていて、リスニングバーには、そこでしか得られない音楽体験があるということに気づかされました。今は、スマホ一つで、いつでもどこでも、あらゆる音楽に触れられます。とても便利で素敵な時代ですが、他人と音楽の話をしたり、新しい音楽を教わったりという体験が減っているのではないでしょうか。リスニングバーは、知識豊富な店主や、常連との会話、そしてその場の雰囲気がすべて記憶と結びついてより深い音楽体験ができる場所なのです。

今回は、取材したリスニングバーの店主がブルータスのために、特別にプレイリストを作ってくれました。ページをめくりながらリスニングバーにいるような気分を味わってみてください。

●清水政伸(本誌担当編集)
BRUTUS 932号:From Editors
上原ひろみさんがおすすめする〈ハァーミット・ドルフィン〉のレコード棚。レコードの背の表情からも感じ取れる店主の思い入れ。レコード棚は本棚同様、人となりまで見えてきます。


ブルータス No. 932

音楽と酒。

750円 — 2021.02.01
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ブルータス No. 932 —『音楽と酒。』

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