マガジンワールド

花の日々を徒然に。 From Editors No.939

From EditorsNo.939 フロム エディターズ

花の日々を徒然に。

この一年は家にいる時間が増えて、花を絶やさないようになりました。
家の中で飾る花は、野草のようなお花を一輪でも。誌面に登場いただいた岡本美穂さんが、存在感のある花を数本組んでくださった花束を持ち帰った時のことです。ヘトヘトになって帰ったので、その夜は包みを解いて(水切りもせず!)花瓶にバサッと入れただけだったのですが、なんというか、モダンな生け花的なまとまり感が。空間の表情がたちまち変わったのに、驚いたものです。

郊外に越したり、田舎暮らしを始めたり、最近花を植える環境が整った方や興味がある方も多いはず、と思い、園芸の花に触れたのは、今号のチャレンジでした。
取材先など、馴染みのない町に訪れた時は、自治体が植えている花壇だったり、知らないお宅の玄関先のお花がきれいだったりすると、ほのぼのと温かい気持ちになり、ついiPhoneを取り出してスナップしたり。様々な種類の花をカラフルにぎゅっと寄せた寄せ植えには、身近に花畑的な景色を作る面白さを感じます。

そして、今号では、昨年クラウド・ファンディングによって存続することが決まったイギリスの映像作家、デレク・ジャーマンの庭を一緒に作り、撮りつづけた写真家のインタビューを巻末に。
ジャーマンが花いっぱいの庭を作り始めたのは、80年代末、彼がHIVポジティブと診断された後のことでした。幼少期から花に親しみ、人生後半の未来の見えない中で、癒しを求めて庭を作り続けたジャーマンの花の姿と物語から、2021年の今、何かを感じ取っていただければと思います。

●草野裕紀子(本誌担当編集)
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何もせずとも、このまとまり感。できるフローリストの真骨頂を見た思いでした。
編集部のあるわが町銀座の歩道脇で。
編集部のあるわが町銀座の歩道脇で。
川崎の芭蕉の句碑の周りにも。
川崎の芭蕉の句碑の周りにも。
松陰神社前の憩いのスポット。
松陰神社前の憩いのスポット。
通りすがりのお宅の前の花壇の寄せ植え。
通りすがりのお宅の前の花壇の寄せ植え。


ブルータス No. 939

続・花と花束。

750円 — 2021.05.17
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ブルータス No. 939 —『続・花と花束。』

紙版

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