Special Contents その人が愛したモノを知れば、その人の生き方が見える。
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その人が愛したモノを知れば、その人の生き方が見える。
小津安二郎が愛したモノから巨匠の意外な一面を探る。
▼ ピケ帽

真っ白なピケ帽は小津家に残っていた新品。ほかにも小津が愛用した数点のピケ帽が発見されているが、未使用のものは稀少。シャツやスーツ同様、このピケ帽も一度に大量に発注していた。

▼ メガネ

鼈甲の老眼鏡は、無類の読者家としても知られる小津が読み物をする際に使用していたプライベート用。現場で台本などを読む際には、半月形の老眼鏡を愛用し、使い分けていたそうだ。

▼ 資生堂の絵の具

松竹の大船撮影所の近所に資生堂の鎌倉工場があったことから、現場で備品がなくなると美術担当者が工場へ買い出しに行っていたという逸話も。赤色の減りが著しいのも小津らしい。

▼ シェービングセット

脚本の執筆を行っていた茅ヶ崎館では、毎朝、11時近くに起床して鏡の前で入念にヒゲを剃る小津の姿が確認されている。シェービングブラシも海外ブランドのものを使用し、持ち手は赤。

▼ 財布

小津が最も好んだ色の一つとして赤が挙げられる。まるで女性モノのような真っ赤な財布を愛用していたというのは、なんとも象徴的な事実といえそうだ。右は小銭ケース、左は札入れ。

▼ グルメ手帖

本人がそう呼んでいたわけではないので「グルメ手帖」は通称。行ったお店の地図や味の感想などが事細かに描写されており、几帳面な小津の性格を各ページから感じ取ることができる。

▼ パテック フィリップの時計

大映製作の『浮草』を撮影した際に、同社の社長からプレゼントされた腕時計。小津の太い腕には似合わないと、撮影仲間からの反応はイマイチだったとか。「浮草」の刻印入り。

▼ パイプセット

小津がタバコ好きというのは有名な話だが、パイプやキセルも同様にたしなんでいた。蒐集癖があったため、ほかにも多数のパイプを所持。なお、メンテナンス用の道具はダンヒル。

▼ 名刺とケース

小津が亡くなる直前まで使用していた名刺は、表面に名前、裏面に住所のみが書かれた非常にミニマルでシンプルなデザイン。名刺入れの中には芸術院会員用の国鉄周遊券も入っている。

▼ 靴下

スコットランド製のソックス。銀座のデパートや丸善での買い物が多かったということから、小物類まで海外ブランドのアイテムで揃えていた。カーブを描いた独特の形状。

▼ ローアングル用三脚

小津映画の代名詞ともいえるローアングル撮影専用に開発された三脚。赤い色と独特の脚の形状から、通称“カニ”。使用には厳しい姿勢を強いられたため、カメラマン泣かせだったとか。
