マガジンワールド

Special Contents 粋な夜の電波で、音楽と出会う。

さまざまな番組を広く、時に深く掘り下げた今回のラジオ特集。奇抜なテーマと実験的な番組構成、そしてAMではなかなか耳にできない選曲で人気の『菊地成孔の粋な夜電波』(TBS RADIO/毎週日曜日 19:00~19:57放送)も取り上げました。本誌では約3年の放送の中から反響の大きい9回について菊地さんに振り返ってもらいました。ここでは、4回分を特別に紹介します。
(photo/Ayumi Yamamoto)


 

赤ワインに合う音楽特集
(2011年5月29日放送)

同じ産地のワインと音楽は相性がいい。
赤ワインの銘柄と共に、そのワインにぴったりの曲を選んだ特集。「フランス人が作った音楽にはやはりフランス産のワインがよく合うんだ、ということを提唱した回です。同様に国産マンズワインと園まりさんの歌声も相性がいい。現代音楽は非常に難しく、お酒を飲みながら聴くものではないとされていますが、濃厚な赤ワインと交響楽団の濃密な響きのマリアージュはたまりません。放送ではフランスの現代音楽家ピエール・ブゥレーズ『Rituel』と園まり『なにも言わないで』(写真)をミックスしました」

 

ケンカ特集
(2011年8月7日放送)

名盤として語り継がれるいわく付き作品。
正確な特集名は「ケンカしたことが音に表れている特集」。制作の裏に“ケンカ”が深く関わる楽曲を紹介。「ライブ録音中、客がステージに闖入(ちんにゅう)してきたマイルス・デイヴィス『いつか王子さまが』。ケンカで前歯を折られた後、入れ歯でトランペットを吹いたチャット・ベイカー『Albert’s House』など、ジャズには実際のケンカが絡んだ曲が多い。最後はPACIFIC 231『ゴメンナサイ』(アルバム『MIYASHIRO』収録/写真)。カタコトで謝る外国人のセリフが印象的な曲で、脱力してエンディング」

 


お正月の胃もたれに効く曲特集
(2012年1月6日放送)

胃腸薬代りに多幸感の溢れた曲を。
正月の暴飲暴食で重くなった胃をスッキリさせてくれる曲を紹介。「私自身、年末の暴飲暴食は避けられない。だから、年明けは胃を軽くしてくれる曲が欠かせません。『ブランデンブルク協奏曲』やSPANK HAPPY『シック』など、ジャンルはさまざまですが、とにかく多幸感に溢れた曲が効くんです。ストックもたくさんありますが、中でもホール&オーツ『Say It Isn’t So』(アルバム『ROCK’N SOUL PART 1』収録/写真)。数ある爽やかなサウンドの中でも飛び抜けていますから、年始には欠かせません」

 

ニューラテンクオーター特集
(2013年8月4日放送)

レジェンドと検証する昭和の夜物語。
正確な特集名は「伝説のナイトクラブオーナー・山本信太郎さんを迎えてのニューラテンクオーター特集」。山本氏をスタジオに招いての放送。「私の音楽家としての出発点はグランドキャバレーで、その源流にはニューラテンクオーターがあり、いまだに大きな存在。番組冒頭の前口上でお馴染み“力道山刺されたる”とはまさにニューラテンクオーターのこと。パティ・ペイジ『いつでも夢を』(アルバム『ライヴ・アット・ニューラテンクオーター』収録/写真)など、当時の様子はCDでも聴ける」

 


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