Special Contents 「骨董品」との付き合い方。
他人の評価ではなく、自分の暮らしの中で価値のあるものを選び、大切にしたいものを持つ。日々の生活を豊かに彩るひとつの手立てです。自分なりのスタンスで「骨董品」と付き合う方々にその魅力について聞きました。古いものとどう向き合い、どのように生活に取り入れているのか。本誌で話を聞いた12人の中から、ここでは4人分をご紹介。
原田マハ
陶器の楕円小皿
骨董の価値は値段ではなく、出合い頭で決まる。
銘があるわけでも、有名窯元で作られたわけでもおそらくないが、気に入ったものは、素朴な色味やヒビの入り方さえ美しく見える。
はらだ・まは / 作家。ニューヨーク近代美術館(MoMA)を題材にした短編小説『モダン』発売中。
森岡督行
伊万里焼(いまりやき)の蕎麦猪口
使っている時の楽しさを想像しながら、買い集めている。
夏に蕎麦を食べるのにいいなと思って、骨董通りで衝動買いした伊万里焼の蕎麦猪口。藤棚の柄が珍しい。江戸期後半のもの。
もりおか・よしゆき / 茅場町〈森岡書店〉店主。5月5日、一冊だけの本を売る銀座店をオープン。
伊藤 弘
〈EMS〉のシンセサイザー
自分で決めたルールの中で、電子機器に侘び寂びを見る。
中央の■にコネクターを刺し、波形を変調させ音を生み出す。電子機器なら玉モノ(真空管)には手を出さないなど独自ルールがある。
いとう・ひろし /〈groovisions〉代表。6月にGYREで展覧会、作品集(パルコ出版など)を予定。
鈴木理策
斑唐津(まだらがらつ)の徳利
斑唐津の盃
唐津「皮鯨(かわくじら)」の盃
斑唐津の盃
唐津「皮鯨(かわくじら)」の盃
繰り返し、繰り返し、見尽くせない魅力を味わう。
同じ唐津でも窯元は異なる。徳利は松浦系藤の川内か古高取。中央の盃は岸岳系皿屋か帆柱。右の盃は平戸系小森谷。
すずき・りさく / 写真家。丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で個展『意識の流れ』開催中。5月31日まで。