マガジンワールド

Special Contents 愛用品と部屋。

自宅で使われ、飾られているものを見れば、その人の歴史と生き方が見える。5人の部屋と、そこにある愛用品たちを紹介するページから、ここでは人類学者の川田順造さんの愛用品を。素朴な日用品には、アフリカのイマジネーションが宿っていた。


素朴な日用品に宿るアフリカのイマジネーション。
川田順造
人類学者
神奈川県湯河原町
【コートジボワールの木製ベッド】
開口部いっぱいに設けられた窓から海を見下ろすリビング。窓枠にはサバンナの王者「バオバブ」の実や16世紀頃のトンボ玉も飾られている。写真手前、ローテーブルのように見えるのは巨大な丸太を削り出したコートジボワールのベッド。窓台の鉱石は、妻で陶芸家の小川待子さんのコレクション。
 
【ナイジェリアの蓋物】
蓋付きの土器は、コーラの実を入れるための日用品。「ユニークな表情と、鳥と魚が一体になったような造形が実に面白い。アフリカのイマジネーション、ここにあり」。サバンナの人たちにとってコーラの実は森林地帯からもたらされる貴重な嗜好品であり、かつては交易品としても使われていた。
 


【サバンナに自生する野草の茎で編まれた籠】
自宅で衣類籠として使っている籠は、ブルキナファソ南部、ロビ族のもの。方形で平らな底面であることが特徴の一つで、イネ科ウシクサ属の野草の茎と樹皮を使って編まれている。モシやビサ、ロビ族の籠編みは、ヒョウタンを使った民具と並び、川田さんが熱心に研究し集めたものの一つだ。
 
【ナイジェリアの青銅・真鍮の置物】
リビングの窓台に並ぶ青銅・真鍮(しんちゅう)のオブジェは、ミツロウで原型を象(かたど)り粘土の外型を用いる「失蠟法(しつろうほう)」で作られたもの。複雑で精巧な細工が施せる鋳造方法だが、型をその都度壊すため同じものは二つとない。ワニを抱えた鳥は熱帯に生息するカラオ(犀鳥)。お守りやお面のモチーフにもよく登場する。
 


【ブルキナファソの市場で使われていたスツール】
数多く所有するアフリカの椅子の中でも愛用しているものの一つが、写真右のスツール。「市場でロビ族の巨大なお尻の女性が座っているのを見て、どうしても欲しくなり譲ってもらった」という。40年以上、書斎で足置き台として使っている。一木削り出しで重量がある。左もロビ族のスツール。
 


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