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Special Contents 若手映画監督名鑑

いつだって、映画の歴史を変えてきたのは若いパワー。ブックインブックでは、今一番活きのいい1980年代以降生まれの監督を13人を名鑑形式で紹介しています。ここでは、そのなかからさらに3人をピックアップしました。

深田晃司
●氏名 深田晃司(ふかだこうじ)
●生まれ年 1980年
●出身地 東京
©2016 映画「淵に立つ」製作委員会/ COMME DES CINEMAS
©2016 映画「淵に立つ」製作委員会/
COMME DES CINEMAS
●代表作
『淵に立つ』
出演:浅野忠信、筒井真理子、古舘寛治/下町で金属加工工場を営む平凡な一家の前に、夫の知人であるという男が現れる。共同生活を始める4人だったが、男は一家に残酷な爪痕を残して消息を絶ってしまう。8年後、一家はようやく男の消息を掴(つか)めそうになるのだが……。


監督、NPOの代表として模索する日本のインディペンデント映画の形。
1999年に映画美学校に入学し、3本の作品を手がける。その後、平田オリザが主宰する劇団〈青年団〉に演出部として所属しつつ、2006年に中編『ざくろ屋敷』を発表。パリ第3回KINOTAYO映画祭ソレイユ・ドール新人賞を受賞。以来、『歓待』『淵に立つ』など、複雑な人間心理を静謐(せいひつ)なタッチで切り取った作品で、国内外の映画祭で評価される。NPO〈独立映画鍋〉では代表理事を務め、インディペンデント映画の製作環境の改善に尽力している。
●この監督を推している人
黒沢清/イザベル・ユペール/しりあがり寿/柳美里


安川有果
●氏名 安川有果(やすかわゆか)
●生まれ年 1986年
●出身地 奈良
Dressing Up
●代表作
『Dressing Up』
出演:祷キララ、鈴木卓爾、佐藤歌恋/幼い頃に母を亡くし、父と2人で暮らす中学生の育美。授業で「将来の夢」についての課題を出された彼女は、「母のようになりたい」という同級生の発言を聞き、興味本位で亡き母について調べる。そして、隠された過去を知ってしまう。


諦めかけた映画の世界へ再び。 きっかけはあの鬼才監督だった。
2007年、大阪美術専門学校の卒業制作として『幸恵』を初監督。第2作の『カノジョは大丈夫』は、女性監督作だけのオムニバス映画『桃まつり presents うそ』の中の一編として上映される。この作品を参考作品に第7回CO2に出した企画が通り、『Dressing Up』を監督。完成後、編集に満足がいかずいったんはお蔵入りにするも、沖島勲監督の『WHO IS THAT MAN⁉ あの男は誰だ⁉』の撮影現場に参加したことで同作の再編集を決意、2015年に上映された。
●この監督を推している人
沖島勲/真魚八重子/石井岳龍/森下くるみ


甫木元 空
●氏名 甫木元 空(ほきもと そら)
●生まれ年 1992年
●出身地 埼玉
©Miner League
©Miner League
●代表作
『はるねこ』
出演:山本圭祐/男は森をさまよう。何かを探しているのだろうか。それは父なのかもしれないし、母かもしれない。幻想的なイメージによって紡がれる世にも奇妙な音楽劇。


監督、脚本、編集、音楽まで自分で手がける、青山真治に見出された俊英。
多摩美術大学在学中に、教授であった青山真治や塚本晋也の映画に触れ、自主映画の製作を始める。自身の作品を作る傍ら、山本政志、橋口亮輔、瀬々敬久など、数多くの監督の作品で助監督も務めた経験も。2016年、『はるねこ』で長編デビュー。同作は青山真治が設立した製作・配給会社〈マイナーリーグ〉のプロデュースによる劇映画第1作に当たる。
●この監督を推している人
中原昌也/鈴木卓爾/とよた真帆


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