京博から足を延ばして国宝巡り。 Special Contents BRUTUS No.856
Special Contents 京博から足を延ばして
国宝巡り。
特集本編でテーマ別に理解を深め、『国宝』展で実際に作品に触れたら、もう一歩先を知るために、京都国立博物館から簡単に足を延ばせる国宝や重文の場所や作品を訪れてみよう!
足し算の美学に彩られた近世書院造りの空間に身を置く。
西本願寺
江戸時代初期に建てられた書院(国宝)は、近世書院造りを代表する建築の一つ。対面所から白書院まで、渡辺了慶(狩野光信の弟子)ら狩野派による金碧障壁画に彩られた「足し算の美学」の空間だ(特別拝観についてはp.87)。唐獅子[からじし]・麒麟[きりん]など吉祥の意匠を詰め込んだ極彩色の唐門(国宝)は来年から修理に入ってしまうため、今が見学のチャンス。●京都府京都市下京区堀川通花屋町下ル。5時30分~17時。参拝自由。
これぞ過差美麗。1,001体の仏が織り成すイリュージョン。
蓮華王院 三十三間堂
後白河天皇が譲位した後の院御所だった法住寺殿の隣に、1164年、平清盛の造進によって創建され、当初は千体観音堂と呼ばれたのが三十三間堂(国宝)。観音信仰により現世利益を得ようと千手観音を祀[まつ]るのは、院政期の特徴。後白河の父・鳥羽上皇も清盛の父・忠盛の造進で聖観音千体を祀る仏堂を建立[こんりゅう]している。●京都府京都市東山区三十三間堂廻町657。8時〜17時(11月16日〜3月31日9時〜16時)。拝観料600円。
「応仁の乱」の戦火を生き延び、焼失を免れた貴重な本堂。
千本釈迦堂
三十三間堂(蓮華王院)と共に、洛中にあって奇跡的に応仁の乱による破壊・焼失を免れた。1227年、義空上人[ぎくうしょうにん]による開創[かいそう]まで遡ることのできる本堂(国宝)は、市内最古の木造建築でもある。本尊の周囲を行道[ぎょうどう]できる、常行堂の構造を持つ堂内では、快慶の十大弟子像(重文)、運慶の弟子・定慶[じょうけい]による六観音像(重文)などを拝することができる。●京都府京都市上京区七本松通今出川上ル。9時〜17時。拝観料600円。