体験してないとは言えないシアター。 Special Contents BRUTUS No.882
Special Contents 体験してないとは言えないシアター。
インターネットの動画配信サービスにより、映画館に足を運ぶことの大切さを忘れている人も多いのではないだろうか。しかし、近年は体験型の映画上映に魅了され、リピートする人も多い。全身で観る10のシアターをおさらい!
シネマオーケストラ
本格的なコンサートと映画が融合。
フルオーケストラが奏でる映画音楽は圧巻だが、それが大スクリーンの映画とシンクロするのだから、その迫力はすさまじい。日本で映画全編を生演奏付きで上映したのは、2012年の『ウエスト・サイド物語』が初。この時指揮者には譜面と練習用のモニターが半年近く前から送付され、練習したというから、いかにこの公演が大変であるかが窺える。映画の中から音を抜き取る作業や、譜面起こしなどのあらゆる工程を踏まえ、映像と息ピッタリに演奏されるから観て聴く側は臨場感に加え緊張感をも楽しめるのだ。以降も新旧様々な映画とともに実施され、今年も『ラ・ラ・ランド』や『007』などが開催。12月22日・23日はBunkamuraオーチャードホールで『ホーム・アローンinコンサート』が上演されるからクリスマスのイベントにうってつけだ。
●問合せ/キョードー東京☎0570・550・799。http://kyodotokyo.com
ドライブインシアター
車内で味わう懐かしくも新しい時間。
かつてはデートや、家族サービスのスポットとして利用されていたドライブインシアターだが、日本に唯一現存していた大磯プリンスホテルの施設も2010年に幕を閉じ、現在常設はない。しかし諦めることなかれ。プロモーターの〈ドゥイット・シアター〉により、単発的ではあるがイベント型としていまも実施されている。発端は2014年に浜名湖パルパルで開催されたナイトマーケット×ドライブインシアター。以降は、人気バンドのSuchmosがこれに目を付け、同社と音楽ライブフィルムをドライブインシアターで楽しむイベントを行ったり、大磯プリンスホテルでも期間限定の復活を遂げたりと、現在も様々な場所で年2回程度開催。会場内は、観やすいよう車の大きさで駐車位置を決めたり、野外出店もあったりと皆が楽しむための工夫も多い。
●問合せ/Do it Theater☎03・6451・2610。https://www.ditjapan.com
ScreenX
劇場に溶け込む270度スクリーン。
シーンによって正面のみに映像が投影されたり、両側面に映像が投影されたりするシーンがあるScreenX。注意が散漫になってしまうのでは? と思いがちだが、人間が持つ270度の視界が映像で覆われることですんなりと環境に馴染み、2D上映なのに、立体映像のような感覚に包まれるのだ。日本で初めてこれを導入したのがお台場で、11月21日に誕生する福岡ももちにもScreenXの導入を決定。立体映像を観る、というよりは映像の中に溶け込めるので、3Dメガネは目が疲れるから苦手、なんて人にもおすすめ。
レンタルシアター
本格的な映画館を少人数で!
おしゃべりしながら映画を観ようが、音を立ててお菓子を食べようが自由! 全国に6店舗を構え、各店ごとに違ったシアタールームを設けている〈AVAC座〉。150インチのスクリーンを配置した4人用や、2人用、1人用などがあり、大阪・梅田店には10人用も用意。音楽ライブを友達と熱唱しながら観るも良し、暗闇で恋人とホラー映像を観るも良し、試写やパーティなどもできるし、映画館ではめったに上映されない作品ソフトを持ち込んで観ることもできるのがこの貸し切りシアター。あなたは何を体験したい?