FLOWER SHOP&BOUQUET GUIDE 春の花束を買いに。 Special Contents BRUTUS No.890
Special Contents FLOWER SHOP&BOUQUET GUIDE 春の花束を買いに。
お世話になったあの人に、大好きなあの人に。贈りたいのは、やっぱり花。素敵な花束を渡すために、知っておきたいのはセンスのいいフラワーショップ。評判高い全24軒に、5,000円のブーケサンプルを花データ付きで作成してもらいました。webでは、そのなかから4軒をご紹介します。
- ミモザ
- ラナンキュラス・ショーモン
- チューリップ・マンゴーチャーム
- ラナンキュラス・ジロンド
- スカビオサ・ステルンクーゲル
ŒUVRE
ウヴル/目黒
もらった瞬間、笑顔になる幸せのブーケを紡ぐ。
ジュエリーデザインの世界から転身し、南青山の〈ル・ベスベ〉での修業を経て2014年に独立した田口一征さんとパートナーの岩永有理さんによる〈ウヴル〉。これまでは完全予約制でウエディングやイベントのブーケを制作してきた2人だが、昨年実店舗をオープン。同業者である花屋からの支持も厚いフローリストの田口さんといえばブーケの幸福度に尽きる。「色彩や組み合わせに私なりの理論はありますが、相手が笑顔になるかどうかを第一に考えています」。優しく、温かい。見た瞬間に、幸せな気分になる。
- ミモザ
- イキシア
- ネリネ・ダイヤモンドリリー
- バラ・ヴァーズ
- チューリップ・フレミングパーロット
duft
ドゥフト/松陰神社前
花と香りとじっくり向き合える静謐なギャラリー。
白を基調としたミニマムな店内に花の彩りだけがアートのように浮かび上がる。ドイツ語で“香り”を意味する店名通り、甘美な香りが心地よく鼻をくすぐる。「花の本質的な魅力と向き合える、ギャラリーのような空間にしたかった」と店主の若井ちえみさん。その美意識はすべてに一貫していて、花選びの基準は一輪挿しで絵になるもの。ブーケは「それぞれの個性を際立たせたいので」と、花と花の空間を大事にしている。包み方もクリアなセロファンのみ。360度、上下どの角度から見ても、花の愛嬌が凜と映える。
- ダリア・ラ・ラ・ラ
- キク・フエゴダーク
- ブルニア・アルビフローラ
- ピンクッション・サクセション
- ヤシ・フェニックスロベレニー
MUNSELL
マンセル/目黒
生け花の感覚が生きる、ドラマティックな花。
昨年10月にオープンした新店。タイルやスチール製の台に、青白い蛍光灯の光を受けて、極彩色の花が並んでいる。草月流の生け花を学び、師範の助手まで務めた経験を持つ、店主の梅澤秀さん。その後、いくつかの花屋で現場の仕事を学び、独立した。マットな黒いセロファンで包んだブーケは、花の個性と個性が響き合う強烈なインパクト。「あえて花と花を重ね、陰影で美しさを引き出す」など、生け花にも通じる立体構成が考え抜かれている。無機質な空間と、謙虚で朗らかな人柄とのコントラストも印象的だ。
- クラスペディア
- ミツマタ
- ラナンキュラス・ラックス
- ゼンマイ
- ブルースター
ハナノエン
はなのえん/滋賀・水口
現代美術家が提案する、野山を再構築した景色。
鉛筆画作品を発表し、現代美術家として活躍してきた野田幸江さん。実家の生花店を手伝ううち、植物での表現の魅力にも気づいたという。「グッとくるのは形が面白いもの。特に茎を見ています」という野田さんが作るアレンジは、既存の概念にとらわれていない。「外国の珍しい花を使うより、身近にある植物を使って風景を作りたい。チューリップやラナンキュラスなどあえて1本だけの花を使うのは、野山に1輪だけ咲いていると目を引くイメージ」。ユニークな感性が新たな刺激をもたらしてくれる存在だ。