いまどきコワーキング事情を知る。 Special Contents BRUTUS No.900
Special Contents いまどきコワーキング事情を知る。
これまで“オフィスを持たない人のためのもの”だったコワーキングスペースが“コミュニティや仕事を生み出すもの”へと進化しているという。いまどきのコワーキング事情を紹介するページから、3つのスペースをピックアップ!
[青山]連
仕掛けが詰まった装置のようなオフィス。
クリエイティブブティック〈シンガタ〉を“店仕舞い”した佐々木宏が新たに〈連〉を立ち上げ、これまでのオフィスを改造。会議室は「タイタニック」と名づけ(会議は時に沈没するので)、隣の部屋は「タグボートzero」(広告制作集団TUGBOATには1・2・3があるので0。電通時代の後輩である代表の岡康道にはダメと言われたがこっそりつけた)。タイタニックの目的地だった「チェルシー地区」には、佐々木が最近最も影響を受けたアーティストのトム・サックスをイメージしたパロディ作品が並ぶ。文具や軽食を備えた「セブンイ連ブン」やロケット型の「NASA」など、オフィスの概念を覆す仕掛けが目白押しだ。
2〜3ヵ月ごとの夜会、年2回の縁日も開催。●東京都港区南青山6−12−1。完全招待制。メンバーシップ料は、プライベートエコノミー、プレミアムクラス、ビジネスクラス、ファーストクラスがあり、利用できるエリアや特典が異なる。
[渋谷]TRAIN TRAIN TRAIN
入居者はアート展示やイベント開催もOK。
博報堂ケトルをはじめとする4社のシェアオフィスとしてスタートした〈TRAIN TRAIN TRAIN〉は、路面店のような“ストリートオフィス”。2㎞圏内にクリエイティブ関連会社の拠点が集まっているため打ち合わせに便利な立地だという。この春から個人と法人の会員を募集開始。メンバーはカフェやミーティングルーム、屋上を利用できるほか、3万円でスペースを借り切ることも可能となる。カフェは夜になるとスナックに様変わりし、日替わりのママによってコミュニティが切り替わるのも楽しみの一つ。仕事、カフェ、スナック、イベントなど多目的にクリエイターが集まる“クリエイティブコミュニティ”だ。
7mある吹き抜け空間ではアートの展示も。●東京都渋谷区東1−29−3 渋谷ブリッジB棟。8時〜翌1時(屋上〜22時)、金・土〜20時。日曜・祝日休。月会費は個人30,000円、法人80,000円。https://www.traintraintrain.jp/
[鎌倉]北条SANCI
日本家屋にオフィスをインストール。
鎌倉の鶴岡八幡宮そば、旧北条家の跡地にあるから〈北条SANCI〉。80年以上前に海軍将校が建てた古民家を、スキーマ建築計画の長坂常がリノベーション。働き方の祭典『Tokyo Work Design Week』の発起人である横石崇がプロデュースし、クリエイター集団〈PARTY〉や〈CEKAI〉とともにスタートさせた。現在はサイバーエージェントや『WIRED』編集部のサテライトオフィスとしても活用されている。“コレクティブオフィス”と名づけ、ジャンルの異なるクリエイターが集まることで、プロジェクトごとに機能し合う。オフィスであり、「誰かさんち」のような心地よさ、程よい緊張感を兼ね備えている。
シャワールームや瞑想室も完備。今後は〈SANCIシリーズ〉として、京都や福岡など、クリエイターの多い地域にコレクティブオフィスをつくる構想もあるという。●神奈川県鎌倉市(非公開・招待制)☎0467・50・0622。http://icicic.jp/