全国の名物書店員が集合! あの店の本棚50。 Special Contents BRUTUS No.903
Special Contents 全国の名物書店員が集合! あの店の本棚50。
書店員が脚光を浴びている昨今。彼、彼女たちの脳内読書マップが反映された店の本棚には、とてつもない個性が詰まっている。そこで、話題の書店員がいる全国各地の本屋を訪ねてみた。眺めているだけでも読書欲を搔き立てる本のパラダイス50軒から、ウェブでは4店舗をご紹介。
森羅万象に溶け込む術(すべ)を様々なジャンルから提案。
辻山良雄Title
詩人で自然保護活動家のゲイリー・スナイダーや、「道」の成り立ちを知りたくて自然歩道3,500㎞を歩いたロバート・ムーアのドキュメンタリーなど、地球の一部として生きる人の思想や軌跡を綴った著作も豊富に揃える。「考える」をセレクトの軸にして、住宅街でもルポや人文書が手軽に買える環境作りに励む。HPでは1日1冊紹介する「毎日のほん」も更新。地域に根ざす町の本屋として在り続けている。
小説とスポーツ本を並列にする独自のプロモーションに注目。
伊野尾宏之伊野尾書店
本屋に生まれ、個人書店の盛衰を目の当たりにしてきた。24歳で渋々継いだ直後に、好きな本を仕入れられる環境を整備。スポーツやアウトドアを軸に「本から入る趣味入門」と銘打ち、漫画、エッセイ、実用書、小説をひとまとめにしたプロモーションや、随所に感想を織り交ぜたポップも配置。また、野宿やプロレスといった衝撃の店内イベントを突発的に行うことも。
人文書や詩集と漫画が並ぶ気取らない選書に誘われる。
長谷川稔長谷川書店 水無瀬駅前店
駅前の書店ながら、誰の心にもすっと寄り添う選書で足を運ばせる存在。見つけてほしいとレジ前に七月堂の詩集が並ぶのも、地元つながりで本とコーヒー豆が同じ棚にあるのも、長谷川さんにとってはごく自然。詩集、絵本、エッセイ、料理本が入り交じるのは「女の人がすっと向かう棚」。無数のリクエストや反応を丁寧に集めて作ってきた書棚は、町の書店ならではだ。
機動力で素早く深く作る。熱いポップも注目の趣味棚。
藤村結香宮脇書店 本店
女性誌のコーナーを経て5年ほど前から趣味担当になった藤村さん。ペット、日本刀と次々来るブームをすかさず捉え、人気の棚を作ってきた。「知って、読んで、買ってほしい欲があるから」と笑う。登山の棚には「揃ってたら格好いい」とヤマケイ文庫を揃え、増えたと思ったイラスト本は美術書棚から引き取り棚を作る。高いアンテナと機動力が培う棚は注目だ。