私の常宿。 Special Contents BRUTUS No.905
Special Contents 私の常宿。
仕事柄、旅が多い人たちは、宿選びも上手です。目的や気分で使い分ける人や、プライベートの過ごし方にこだわる人まで。思わず人に薦めたくなるとっておきのホテルを、12人に尋ねました。WEBでは、3人をご紹介します。
村井邦彦 ●作曲家
むらい・くにひこ/1945年東京都生まれ。アルファレコード設立者。「翼をください」などの作曲、荒井由実やYMOのプロデュースを手がけた。雑誌連載をまとめた『村井邦彦のLA日記』(リットーミュージック)発売中。
軽井沢 万平ホテル長野/軽井沢
上高地帝国ホテル長野/上高地
セルリアンタワー東急ホテル東京/渋谷
怖さも魅力のクラシックホテル。
軽井沢の〈万平ホテル〉には50〜60年前から泊まっています。まるで映画の『シャイニング』のようなお化けの出そうなところがいい。ジョン・レノンが愛したホテルとしても知られていて、彼が使っていた部屋が残っています。ここのバーは、古いままで戦前の雰囲気があり、いいコニャックやウイスキーも揃っています。同じ『シャイニング』系では上高地の〈帝国ホテル〉もいい。廊下にカモシカの剥製が置いてあって、夜はかなり怖い思いをする(笑)。東京の定宿は〈セルリアンタワー〉。ここは、お化けはいなそうですがサービスなどが総合的にいい。部屋によってはお風呂から富士山も見えるのです。
山内マリコ ●小説家
やまうち・まりこ/1980年富山県生まれ。近刊に『あたしたちよくやってる』(幻冬舎)。雑誌『エトセトラ』vol.2責任編集を務める。田嶋陽子『愛という名の支配』(新潮文庫)では解説を担当。『あのこは貴族』(集英社文庫)の映画化が決定。
庭のホテル 東京東京/水道橋
軽井沢 万平ホテル長野/軽井沢
山の上ホテル東京/御茶ノ水
作家の缶詰めホテル。
〈庭のホテル〉は外国人が夢見るニッポンと、日本人にとってリアルな和が、程よいバランスで融合していて、とても落ち着きます。鋳物の急須、障子などのディテールがいい。机もしっかり大きく、リーズナブルで連泊も可能とすべてが缶詰め向き。コンビニで物資を調達し、あとはルームサービスで一歩も外へ出ず執筆に励みます。クラシックホテルが大好きですが、なかでも〈万平ホテル〉は群を抜いて美しい。1ヵ月くらい逗留して、避暑しつつ原稿を書く、なんて夏の過ごし方には永遠に憧れます。〈山の上ホテル〉は昭和の文豪が愛した歴史あるホテル。リニューアルして、より素敵なホテルになると確信しています!
ドミニク・ブシェ ●シェフ
ジョエル・ロブションの右腕として活躍し、2004年に自身のレストランをパリに開業。13年、東京・銀座に進出し、ミシュラン2ツ星を獲得。金沢と名古屋に系列店を展開する。今年12月、京都のホテル内に新店舗をオープン予定。
アマン東京東京/大手町
グランド ハイアット 東京東京/六本木
ウェスティン都ホテル京都京都/東山
日本の美学を感じる。
〈アマン東京〉は都会にいながら遠くへ旅をさせてくれる、不思議な魔力を秘めた美しさがあると思います。ラウンジは東京でも大好きな場所の一つ。富士山を拝みながら、シャンパーニュを楽しめるのがロマンティックです。一方、〈グランドハイアット 東京〉はモダンな中に日本の美学を感じさせるデザイン。バランスの良いサービスも日本のおもてなしを根底に感じます。京都では喧騒を離れて、〈ウェスティン都ホテル京都〉へ。伝統と品格を保ちながらも進化を遂げる、本当の意味でのプレステージ感があります。改装された広い部屋から美しい山並みを眺めると、心がとても癒やされるんです。時間を忘れて過ごせますよ。