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店の個性際立つ夏のレコード5枚とその理由。 Special Contents BRUTUS No.942

Special Contents 店の個性際立つ夏のレコード5枚とその理由。

一面のレコード棚から次にかける一枚を嗅ぎ分けて選び出す。その選曲からは店の哲学や店主の人生までもが浮かび上がってくる。北は札幌、南は長崎まで、全国の23軒の名店主が選ぶブルータスのための夏のプレイリスト。

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ジャズ喫茶 いーぐる
後藤雅洋/東京・四谷

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『Fontessa』The Modern Jazz Quartet

2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

『Fontessa』The Modern Jazz Quartet/仕事が始まる時は、熱量のあるジャズより、爽やかなジャズ。ビブラフォンの涼感ある音に、ピアノの高音、ベースのリズム、ドラムのビートが合わさる完璧な四重奏。くどすぎず、午前中から聴きやすい。


『Jackie’s Bag』Jackie McLean

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

『Jackie’s Bag』Jackie McLean/リズミカルでコクがある、ジャッキー・マクリーンのサックス。わかりやすい4ビートではないし、ジョン・コルトレーンやビル・エヴァンスと比べたら少々マイナーな彼だけど、ジャズ喫茶ファンに響く一枚です。


『The Complete Studio Recordings On Savoy Years Vol .3』Charlie Parker

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

『The Complete Studio Recordings On Savoy Years Vol .3』Charlie Parker/先の展開が読めない、スリリングな演奏を僕に教えてくれたモダンジャズの開祖。コード進行に基づいて複雑化させた即興演奏は、後にビバップ革命といわれるように。


『Music Life』Mia Doi Todd

最近手に入れた一枚は?

『Music Life』Mia Doi Todd/友人のジャズ評論家、原雅明さんがツイッターでおすすめしていたのがこのアルバム。フォーキーなのにエキゾティックなボーカルが彼女の“らしさ”を表現していて。そんな個性を見る、というのも音楽の醍醐味です。


『Caipi』Kurt Rosenwinkel

夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

『Caipi』Kurt Rosenwinkel/ブラジルの音楽文化・ミナス派と呼ばれたサンバやボサノヴァのエッセンスが入った夏の傑作。哀愁を帯びていると同時に、豊かな自然へのシンパシーを感じさせる旋律には、ミントたっぷりのモヒートが合いそうです。


shop data

聴き疲れしない、音響の設定にもこだわりが。夜は音楽を語らう場に。●東京都新宿区四谷1−8 ホリナカビルB1☎03・3357・9857。11時30分〜23時30分(土14時〜)。日曜・祝日休。


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wapiti
秋谷直弘/大阪・堺筋本町

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2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

『Other Aspects』Eric Dolphy/毎夜の喧騒の前となる静けさの中、この人のフリージャズに身を委ねるとなんともよい心持ちに。「未完成」感を含む彼とその音が、同じく「未完成」な店内の開店時に鳴り響くと、一日のやる気が出る一枚です。


『Companionship』Sahib Shihab

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

『Companionship』Sahib Shihab/フリージャズの醍醐味的なダイナミックなアドリブに置いていかれまいと必死に音に追いすがるのが快感。何度聴いても鳥肌もの。天才たちの奏でるこれぞヨーロッパジャズの歴史的名作の中の名作。


『Welcome To The Cruel World』Ben Harper

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

『Welcome To The Cruel World』Ben Harper/学校をサボっては繰り返し夢中で聴いていた、青春の一枚。スライドギターのゆったりとメロウな残響と、内省的なボ-カルが素晴らしい。今も朝な夕な、お店でよくプレーし、魅せられる一枚です。


『Alive In The East?』Binker and Moses

最近手に入れた一枚は?

『Alive In The East?』Binker and Moses/UK新世代ジャズの金字塔作。モーゼス・ボイドのドラムとビンカー・ゴールディングのサックスは何度聴いても鳥肌ものです。ライブの臨場感がすごく、飲みながら聴くと、気分はもう南ロンドン。


「I’ll Come Running Back To You」Nick Kurosawa

夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

「I’ll Come Running Back To You」Nick Kurosawa/ハワイ在住日系ボーカリストによる、アコギと声だけのメロウフォーク。夏の夕暮れ時に、1930年代式サーバーで入れる極上のビールとともに聴くと、「あれここ天国?」なんて思える一枚。


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世界のクラフトジンを、3,000枚のレコードから厳選したバップジャズと楽しむ立ち飲み。●大阪府大阪市中央区安土町1−4−5☎06・4963・3332。15時~23時(土・日~22時)。月曜休。


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Cafe & Bar SUPER GOOD
佐藤 潔/宮城・仙台

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『Is It Because I’m Black』Syl Johnson

2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

『Is It Because I’m Black』Syl Johnson/シルの85歳の誕生日でもある7月1日だからこそ、このアルバムで一日のスタートを。現代のBLMにも繋がるディープなタイトル曲に沁み入りつつ、ダンスナンバーの「Right On」で盛り上がりましょう。


『Soul On Top』James Brown With The Louie Bellson Orchestra、Oliver Nelson

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

『Soul On Top』James Brown With The Louie Bellson Orchestra、Oliver Nelson/ジャズオーケストラの圧倒的な演奏をバックに歌いまくるJB。「ゲロッパ」だけじゃない、彼の魅力を伝えるために、店をやっていると言ってもいいほどです。


『Typhoon Lady』大上留利子

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

『Typhoon Lady』大上留利子/ブラコンばかり聴いていた高校生の私が、ソウルにハマった理由はこのアルバム。A面にはブラックミュージックらしい力強さ、B面にはシティポップ風の軽快なメロディ。関西ソウルのレベルの高さに驚いた記憶が。


『Did You Heard Me?』Rufus Thomas

最近手に入れた一枚は?

『Did You Heard Me?』Rufus Thomas/ようやくオリジナル盤に出会い即購入。思わず腰が動いてしまうファンクナンバー「Breakdown」は必聴。1988年に渋谷のステージで観た、ド派手なイエロースーツの姿が、今も目に焼きついています。


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夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

『Hell』James Brown/大好きなJBの1974年リリースの名盤。このアルバムにしか入っていない、デビュー曲「Please, Please, Please」のラテンアレンジは夏にぴったり。サルサのリズムを聴きながら瓶ビールで乾杯、なんて最高の過ごし方。


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60〜80年代の様々なジャンルのレコードから、今では珍しいジュークボックスまでが揃う。●宮城県仙台市青葉区錦町1−1−1 錦町スクエア1F☎070・6615・8196。18時〜24時。日曜・祝日休。

ブルータス No. 942

音楽と酒・夏。

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