From Editors No. 772 フロム エディターズ
From Editors 1
お取り寄せとは
自分を写す鏡。
特に4名の審査員による大審査会では、現場のスタッフたちもどんどん進歩していて、そのスキルがいかんなく発揮されます。総勢40名ほどのスタッフが無駄な動き無くテキパキとそれぞれの仕事を進めるさまはまるで“伝統芸”のごとし。チームリーダーであるフードジャーナリストの渡辺“P”紀子さんとは、毎度毎度「審査会にお客様入れてみんなに観て頂いて、映像にして残しておきたいね」と話すほどの、壮大(かつ、てんやわんや)な一部始終。とにもかくにも、多くの人たちのご協力と、深い愛情で成り立っている特集であることは間違いありません。
今回、「お取り寄せ最終案内」というタイトルの元に取材・撮影を続けて来ましたが、いざ、審査会を開いてみれば、審査員の方々からも口々に「まだまだ続けましょう」と仰って頂き、秋元康さんに至っては新しいお取り寄せ企画の提案まで頂くほど。もうぐらんぐらんに心が揺らぎました。そんな中でも、松任谷正隆さんの言葉が印象に残っています。曰く、お取り寄せ審査会というのは、ただ味の比較をしているだけではない。自分自身をためつすがめつしてしているのだ、と。お取り寄せとは、感性をトレーニングすること。自分に合ったお取り寄せを選ぶという行為の奥深さを、最後に垣間見た気がします。10年間のお取り寄せ特集の集大成として、盛りだくさんのこの号をどうぞお楽しみください。
我らの愛する「お取り寄せ」は、永遠に不滅です!
From Editors 2
最強のTKGを探せ!
まずは、そのお作法から…。
米、卵、醤油各10種を全国から取り寄せてのTKG試食会に挑んでくれたのは、醤油研究家の杉村啓さん、三田<晴山>主人の山本晴彦さん、食と農のジャーナリスト・山本謙治さんの3人。各10種といっても、組み合わせで考えたら1000通りですからね。ハンパない。審査会の様子はもちろん本誌で読んでいただければと思うのですが、試食に入る前にひと盛り上がりしたのが、それぞれの“TKG作法”について。
卵を別の器に溶くか、ごはんに直接落とすか。黄味と白味が一体になるまで溶くか、少し白味のつるんを残して溶くか。醤油は卵にかけるのか、ごはんにかけるのか…。自分の作法がスタンダードだと思っていたのに、審査員やスタッフの話を聞いていると十人十色で、みんなバラバラ。で、実際いつもと違う作法で食べてみると、本当に味が変わってくるんだからもうっ。米×卵×醤油の組み合わせのうえに、作法までも広範なバリエーションがあるというのだから……TKGの世界はやはり底なしに奥深いのです。
