こんな時代だから、 最高の音楽と出会いたい。 From Editors No.863
From EditorsNo.863 フロム エディターズ
こんな時代だから、
最高の音楽と出会いたい。
私たちの生活から“音楽”が少しずつ遠ざかっている気がします。テクノロジーの進化によって、 手に入りやすく、身近になっているはずの“音楽”。 しかし、いつの頃からか、街から“音楽”が聴こえてこなくなってしまいました。 お店に入っても、お茶をしていても、テレビを見ていても、そして、街を歩いていても。 私たちの聴きたい“音楽”が、街から聴こえてこなくなりました。
“音楽”には“文脈”があります。 歴史や背景、今の時代性、描かれる物語、作り手の思いやつながり。 “文脈”とは、その“音楽”が、今、そこに存在する理由です。 ただ気持ち良いから、という理由で“音楽”を聴くのも、その醍醐味だと思います。 しかし、その“文脈”を知り、音楽体験をした時、“音楽”を聴く、という行為は、 より豊かな行為に変わっていきます。
山下達郎というアーティストがいます。言わずもがな、日本を代表する音楽家、ミュージシャンです。40年近く、音楽シーンの第一線で、多くの名曲を生み出してきました。 彼を語る上で忘れてはならないラジオプログラムがあります。 日曜日14時からはじまる『山下達郎のサンデー・ソングブック』。25周年を迎えたこの人気ラジオプログラムは、山下達郎さんの膨大な音楽コレクションから構成され、 多様な“音楽”の紹介とその聴き方を発信されてきました。 彼が選ぶ、語る“音楽”は、聴く者に(もしその音楽を聴くのが初めてであったとしても)、 なぜか幸せな気持ちにさせてくれます。“音楽”を聴くという行為を、より豊かなものにする。そう考えた時、山下達郎さんとブルータスの音楽特集を作ってみたい。そう思い立ちました。こんな時代だからこそ、最高の音楽と出会いたい。山下達郎さんと作る音楽の特集が、街から、私たちの聴きたい“音楽”が聴こえてくるきっかけになれば、と考えます。