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知らない人がクローゼットを見たら、どんな人間を想像するだろう? From Editors No.866

From EditorsNo.866 フロム エディターズ

知らない人がクローゼットを見たら、
どんな人間を想像するだろう?

祖父はおしゃれな人だった。もしかしたら、洋服に興味を持ったのは、この人への憧れからかもしれない。昨年末の帰省時に遺品を整理する機会があった。実際にどんな服を着ていたのか知りたくて、数時間クローゼットのある部屋に篭ることに。子供の頃には気にしたこともなかったが、スーツはほとんどが仕立てたもの。いくつか試着してみて、スーツのパンツ2本と、靴を1足、見覚えのある綺麗なストライプのシャツを1枚譲り受けた。
 
ところで父親はと言えば、オシャレに興味がない。それでも、長く着続けているお気に入りがあるし、80歳近くなった最近では、キャップがマイブームのようだ。はたして何が自分をこの仕事に導いたのか。祖父と父、自分に影響を及ぼしただろう、いろいろに想いを馳せた。実家から帰ってきて、自分のクローゼットに並ぶ20年選手から、最近買ったアイテムまでを見直してみる。着続けて擦り切れたネルシャツや、履かないのに捨てられない靴。あまり思い入れのないジャケットや、なんで買ったのか自分でもわからないニットなど。改めて見ると、どれもが自分の履歴で、その時代や瞬間の洋服に対する熱量を思い出させてくれた。いまもここに残してある意味は? もし、自分を知らない誰かがクローゼットを見たら、どんな人間を想像するだろう?

今回の特集タイトルは「服が人を作る」とした。特集のベースには『14歳の君へ』(池田晶子著)という1冊の本がある。以前、ファッションジャーナリストの平川武治さんと話をしているときに、「この本のファッション版を作ってみたら面白いはずですよ」というアイデアをいただき、“服と向き合いたくなる”特集を作りたいと思った。書籍からの引用を含め、アイデアに賛同し快諾して下さったのは毎日新聞出版局の永上敬さん。お二人に感謝したい。

●︎︎︎鮎川隆史(本誌担当編集)
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初めて自分で洋服を買いに行ったのか14歳の頃。この雑誌を片手に、友達とドキドキしながら東京に出かけたのが15歳の頃。片道約2時間。足が痛くなるまで歩き回って、何も買わずに帰って来た覚えがある。


ブルータス No. 866

服が人を作る 何を選び、どう着るか。

700円 — 2018.03.15電子版あり
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ブルータス No. 866 —『服が人を作る 何を選び、どう着るか。』

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