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建て直すのではなく、立て直す。使われなくなった場所を忘れられない場所へ。 From Editors No.875

From EditorsNo.875 フロム エディターズ

建て直すのではなく、立て直す。
使われなくなった場所を忘れられない場所へ。

久しぶりに実家に帰ると、昔歩いた道が、町が、すっかり変わってしまったな〜と思うことがある。角に建っているコンビニ、あそこ、子供の時なにがあったんだっけ? 今住んでいる東京の変化は、さらにもっと早い。駅前の再開発で、住み始めた頃とは、町の雰囲気もガラッと変化し、なんだか寂しいな、とも思ったりする。

今回の特集取材で3年ぶりにニューヨークに行った。WTCやホイットニー美術館は、新しくなっていたけれど、ニューヨークという街は3年前に来たときと変わらないニューヨークの街だった。ホテルの近くの角のレストランは、店名は変わったけれど、建物の雰囲気は変わらず、いつもそこにいてくれる安心感。JFK空港からマンハッタンのダウンタウンへ向かうとき、左側に見えてくるブルックリンのインダストリー・シティ。車から見れば、いつもの風景なのだけれど、今、その使われなくなったウェアハウスは、ひとつの大きな街に変貌しようとしている。

スクラップ&ビルドではなく、コンバージョン(転用)が、町に染み付いているのがニューヨーク。0からでは作ることができない、その建物、そしてその土地が持つ履歴と記憶。

そこで働いていた人、住んでいた人、通りがかってきた人たちが、記憶の底で街の意識を共有する。これって、とても大事なことだと思う。

今回の特集は、廃校を中心に、使われなくなった、人が離れてしまった場所や建物の再生方法を考える特集です。新たな魅力を付した場所は、昔通いなれた人が帰ってきて、そして新たな人たちがそこに遊びに学びに食べに……行く。

あなたの実家の近くにも、もしかしたら、おもしろいコンバージョンプロジェクトがあるかもしれません。一度、遊びに行ってみるのはどうでしょう。えっ、という記憶が蘇るかもしれません。

●︎︎︎杉江宣洋(本誌担当編集)
BRUTUS 875号:From Editors
僕の好きなニューヨークの建物、フラットアイアンビルディング。1902年竣工。このあたりに用事はなくても、必ず観に行ってしまう。


ブルータス No. 875

みんなで集まる場所のつくり方。居住空間学 再生編

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ブルータス No. 875 —『みんなで集まる場所のつくり方。居住空間学 再生編』

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