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平成最後(?)のお菓子特集は、「洋菓子」です。 From Editors No.880

From EditorsNo.880 フロム エディターズ

平成最後(?)のお菓子特集は、「洋菓子」です。

海外からお菓子のお店がやって来ては行列ができたり、毎年のように何かしらのお菓子のブームができる昨今。一方で、何代にも渡って近所の住人たちに愛されるお菓子を作り続ける、町の洋菓子屋さん達がいます。バラを絞った美しいバタークリームケーキ、甘酸っぱいレモンパイ、ほんのり塩を感じるモカロール、ラム酒の効いたサバラン、黄色いモンブラン、杏ジャムが塗られたスフレチーズケーキなどなど。今どきのパティスリーにはなくても、町の洋菓子屋さんにある定番が懐かしくなって、BRUTUS、5年ぶりのケーキ特集は、「和式洋菓子」とも言えそうな、洋菓子のスタンダードが集合する特集となりました。

じつは、きっかけは、昨年担当した「とんかつ」の特集。開国の時に、日本に肉食文化をはじめとした様々な食文化が入ってきたことを知りました。お菓子もまた然り。そして調べて行きついた、当時から変わらず作り続ける老舗洋菓子店の存在に衝撃を受け、他方では名店がなくなってしまう事にもどかしさを感じ。いまの私達を取り巻く“スイーツ”カルチャーの礎を築いた人々やお菓子について、掘り下げ、ご紹介したいと思ったのです。

取材をしていくと、「今のケーキに比べて甘みが強いと思っても、緑茶や抹茶に合わせるとしっくりおいしい」とか、「黄色いモンブランには、餡を練り込んでいる店も」とか、和菓子文化・日本の中で育まれた洋菓子の独特な味わいの秘密を解き明かすような話もちらほら出てきて、いよいよ興味が尽きなくなりました。

折しも、平成最後の1年を切った今、4つの時代に渡って続くお菓子文化を繙く1冊となりました。ぜひ、お好きな洋菓子を傍らに、お茶でも飲みながら、めくってみてください。

●草野裕紀子(本誌担当編集)
BRUTUS 880号:From Editors
本誌「洋菓子黎明期クロニクル」の解説をしてくださった吉田菊次郎さんの蔵書「あづま錦」(古川梅次郎著、大正14年/1925年刊)に掲載の「パケアラクレーム」。桶の中にどっさりのクリームが、当時の「ザ・洋菓子」(!?)


ブルータス No. 880

洋菓子好き。

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ブルータス No. 880 —『洋菓子好き。』

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