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日本美術は、会田さんのインスピレーション源です。 From Editors No.886

From EditorsNo.886 フロム エディターズ

日本美術は、会田さんのインスピレーション源です。

現代美術家の中でもラディカルな作風でお馴染みの会田誠さんですが、日本の名画へのオマージュと言える作品がいくつかあります。東京の女子高生と修学旅行中の女子中学生を横一列に配した《群娘図’97》の構図は尾形光琳の国宝《燕子花図屏風》の様。また、近づいて見るとうず高く積み上げられたビジネスマンで構成された《灰色の山》は藤田嗣治の戦争画《アッツ島玉砕》の現代版さながら。
そして現在、兵庫県立美術館で開催中の『Oh! マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー』で展示されている最新作《MONUMENT FOR NOTHING V 〜にほんのまつり〜》もまたしかり。無念にも餓死して行った旧陸軍二等兵の“英霊”が巨大な集合体となり、国会議事堂(形の墓)にその存在をアピールしているという作品。高さ7m余りのねぶたのような立体で表現された本作のインスピレーションのひとつは歌川国芳の《相馬の古内裏》のどくろだそうです。
しかし、展覧会の会場に掲示されたキャプションにはそのヒントはなく、それを読み解くのは困難かも。(実際、記者内覧会でもそういった質問は出ておらず、私も先に聞いていなかったらたぶん思い至らなかったかと。)

今回の特集では、会田さんに「藝大時代に古美術研究旅行で本物を見て痺れた」など若い時からの絵画体験を交えながら解説していただいています。時に社会的、政治的なメッセージを織り交ぜながら提示される会田さんの作品は表面的に捉えられがちですが、会田作品が内包する何層ものレイヤーを再発見する、そんな機会にもなるのではないでしょうか。
(上記の作品図版は、すべて本誌でご覧いただけます。)

●草野裕紀子(本誌担当編集)
BRUTUS 886号:From Editors
最新作の最後の仕上げ、どくろに目を入れる会田さん。迫力の展示こそ、この目で見たい現代美術。展覧会は3月17日まで、お見逃しなく。(写真提供:兵庫県立美術館)


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