あなたはどのタイプに当てはまる? From Editors No.894
From EditorsNo.894 フロム エディターズ
あなたはどのタイプに当てはまる?
なぜスニーカーがここまで人気なのか、素朴な疑問を抱いていた。例えば、「エア マックス」や「エア ジョーダン」の登場と、その後の社会現象を目の当たりにしてきた世代としては、人気モデルのアッパーとソールを組み合わせただけのアイテムはどこか物足りない。でも、取材の過程でこんな話を聞いた。どんなデザイナーとのコラボレーションであっても、ベースモデル選びは彼らのノスタルジックな想い出話から始まることが多いという。「あの頃の自分」を振り返りつつ、それをアップデートする。人間の好みは、極端には変わらないのかもしれない。
あるブランドのMD戦略では、購買層を少なくとも3タイプにカテゴライズできるという。「sneaker obsessed(取り憑かれたように足元しか見ない人)」「style maven(ファッションの一部として上手く取り入れている人)」、そして「visionary(ごく一部の高感度な人)」。なるほど、うまく言い当てている。アーカイヴの組み合わせや、アレンジ、そこに加わる誰かのシグネチャーというプレミアム感こそが、先ほどの3タイプの人たちを幅広く刺激するのだろう。追いかければ追いかけるほど深みにはまり、何百足、何千足と集めるコレクターは、世界を見渡せばそう珍しくないのだ。
ちなみに、個人的に好きなスニーカーを聞かれれば、私はアディダスの「カリーム・アブドゥール・ジャバー」のシグネチャーモデルと答える。1970年代に出たオリジナルではなく、気軽な復刻版モデル。デザインは至ってシンブルでベーシックだけど、ハイカットのシューレースの間から見せる顔が最高なのだ。それにしたって「あの頃の自分」のままで、3タイプのどれにも当てはまらない私は、いかがなものかと思う。