愛ゆえに奥深き餃子の世界。 From Editors No.929
From EditorsNo.929 フロム エディターズ
愛ゆえに奥深き餃子の世界。
「餃子」と聞いてわれわれ日本人が思い浮かべるのは、やっぱり焼き餃子。本場中国のメジャーは水餃子なのに。これには諸説あるようで、第二次世界大戦終戦後に中国、特に満州から餃子が日本に渡来し、安価でボリュームのある焼き餃子があっという間にお茶の間に浸透したことが、日本人の「餃子好き」の始まりとされています(江戸時代から食べられてはいたようです)。ちなみに満州の焼き餃子は、前日に食べた水餃子の残りを美味しく食べるために焼いた「二日目餃子」が一般的だったそう。ではなぜ、本場で一般的だった水餃子ではなく、焼き餃子が好まれたのか。それはきっと、日本人は米と一緒に餃子を食べるから、ではないでしょうか。中国では、餃子は主食とされていますが、日本ではおかずのポジション。そして、ご飯がススムようにと、ニンニクを入れたり(中国では入れないのが一般的)、タレにつけたり(中国ではラー油は足さない)と進化を遂げてきました。ゆえに、焼き餃子は、戦後の日本で花開いた、独自の食文化なんです。しかも、日本の焼き餃子は生の餃子を焼いているため、「二日目餃子」より美味しいというわけ。
さらに餃子を奥深くしているのが、餡の具材の「自由さ」。キャベツの代わりにレタスを入れたり、魚介を入れ複雑味を足したり、肉ではなく野菜を多めにして甘さを際立たせたり。また、それを支える皮の作りも千差万別。厚さ、固さ、大きさ、包みかた。店ごとに塾考されたスタイルがあり、餃子好きたちを唸らせています。皮と餡の仕込み、包み、調理する。餃子って、実はとっても手間がかかる料理なんです。
今回の特集では、そんな沼のように奥深い餃子の名店を80軒集めました。焼き・水・揚げはもちろん、世界の餃子に中華じゃない店の餃子まで。愛をもって餃子と向き合うお店ばかりなので、ぜひ、マイフェイバリットを探してみてください。