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from サンソン 棚からひとつかみー父の日編 Special Contents BRUTUS No.863

Special Contents from サンソン 棚からひとつかみー父の日編

●2000年6月18日OA

達郎さんが所有するレコード棚から自身がランダムに選曲する定番プログラム「棚からひとつかみ」。テーマを設けない回もあるが、この日はオンエア日が父の日と重なったこともあり、初めて父の日をテーマに「棚つか」が行われた(後の2016年に第2弾が放送されている)。
「今日は父の日にちなみまして、全国のオールディーズ好きのお父さんに捧げる、棚からひとつかみ父の日スペシャルでございます。何が飛び出しますでしょうか。お父さんの歌でいろいろと55分間お楽しみいただきたいと思います。お嬢さん方、ちゃんとお父さんにプレゼントをあげていますか。自分の曲はお父さんについての歌が全然ないので、私もお父さんの歌を書いてみようかななんて昔から思ってるんですけど、なかなか書けません。機会があれば挑戦してみたいと思います」

「Papa Was a Rollin' Stone」ザ・テンプテーションズ

「Papa Was a Rollin’ Stone」

ザ・テンプテーションズ
1972年全米1位、グラミーの3冠に輝いた代表曲の一つ。「ローリング・ストーンというのはこの場合はいい加減な男や駄目男の意味だそうですが、父親の死を知らされた、母親と子供の会話で、“うちのパパはローリング・ストーンだ。死んだ後に残ったのはローンだけ。女と酒がすべてで、本当のぐうたらだった”という救いようのない歌でございます。曲を作っているのがノーマン・ホイットフィールド。いわゆるワンコードソングです。非常に長い曲なんですが、特にイントロが長く、リードボーカルのデニス・エドワーズがあまりにイントロが長いので怒ってしまい、いつもの歌い方と全然違う非常に重い歌い方で始めたのがまたこの曲に合ってしまったという名作です」



「To Daddy」エミルー・ハリス

「To Daddy」

エミルー・ハリス
カントリーシンガー、エミルー・ハリスの1978年のアルバム『Quarter Moon in a Ten Cent Town』に収録。「父の日特集、お父さんの歌といった日常的な歌の世界を表現するのでは、カントリーミュージックというのは十八番です。お父さんをテーマにした歌の中で私がとりわけ好きな一曲で、作詞作曲はドリー・パートンです。“お母さんは母親と妻以上のものは何も望んでいなかったように思えた。お母さんの人生にたった一つ大切だったことは家庭を築き、私たちを幸せにすること。それ以上のものは決して望んでいないように見えた”というような内容の歌で、夫の不実に耐えかねて、子供の自立とともに家を出るという、いわゆる熟年離婚をテーマにした名曲でございます」



「僕のお父さん」桑田佳祐 『孤独の太陽』収録

「僕のお父さん」

桑田佳祐
『孤独の太陽』収録
1994年に発売された桑田佳祐の2ndソロアルバム、『孤独の太陽』に収録されている「僕のお父さん」。アルバムの制作期間中に桑田自身の母が他界したことも影響を与えているといわれている。「父の日特集では、日本語の作品をもうちょっと多めに選曲しようと思って、いろいろと聴いてみたんですけれども、ザ・テンプテーションズの『Papa Was a Rollin’ Stone』やエミルー・ハリスの『To Daddy』に匹敵するような思想的に質を持った作品というのがほとんど見当たらなかったんです。それなので、今回もまた相も変わらず洋楽中心になってしまいましたが、なめる程度ですが邦楽を。この曲は今回かけてきた音楽と全く質的には同等の緊張感を持っている名曲だと思います」



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