ここが私の好きな公園。 Special Contents BRUTUS No.874
Special Contents ここが私の好きな公園。
ライフスタイルや好きな世界観で、大切にしたい公園は大きく変わる。楽しみ方は人それぞれなのだ。太極拳にピクニック、パワーチャージ、創作活動。公演好き15組に聞いてわかった、15通りの楽しみ方と、その魅力とは? webでは、そのうち5人分をご紹介します。
京都御苑
清々しい空間でピクニック。京都旅行のたびに訪れます。
自身のSNSでは愛娘との日々を綴り、公園を訪れる様子もよく見られる。「独身時代の公園は、心ゆくまで友人と語れる場所。でも娘が生まれてからは、子供を解き放って安心してお茶ができる場所になりました」。普段から訪れるのは〈二子玉川公園〉だが、旅先で惹かれるのが〈京都御苑〉だ。「気の流れがとても良くて清々しいんです。京都に遊びに行くと、友人がお弁当を作ってくれるので一緒にピクニックへ。娘は大きな切り株の上で歌ったりしながら、嬉しそうに遊んでいます」。どこでも座れる服装と、持ち運べるシートが公園には欠かせない。「これがあれば手軽にピクニックができるので。おすすめはサンセットの時間。ただのんびりと過ごせます」
京都府京都市上京区京都御苑3☎075・211・6348。京都御所をぐるりと囲む国民公園。樹齢100年を超える木々が並ぶ森や、歴史的遺構も点在する。
駒沢オリンピック公園
犬の散歩ついでに写真を撮り始めて8年。
ANIさんは8年前から、携帯で撮影した〈駒沢公園〉の写真を「今日の駒沢公園」というタイトルでTwitterに投稿している。「Twitterを始めた時に何か一つ、無理せずに続けられるものはないかなと思って。犬の散歩でほぼ毎日〈駒沢公園〉に行くので、ついでに写真をアップしようと決めたのが始まりです。義務みたいになったらやめようと思っているんですが、そんなこともなく続いています」。好きな風景は、寒い冬の平日の昼間。「曇りの日とかほとんど人がいない時があって、ちょっと寂しい感じがいい。近所に引っ越してきた当初はこんなに頻繁に散歩するとは思ってなかったですけど、ぼんやり散歩しながら、季節の移り変わりを感じられるのがいいですね」
東京都世田谷区駒沢公園1−1☎03・3421・6431。1964年開催の東京オリンピックの会場の一つで、後に一般公開。緑と体育施設が調和した運動公園だ。
駒場公園
人やモノから距離がとれて、心身が緩まるんです。
「公園に行きたくなるのは、頭の中を整理したい時。環境を変えたら何か違うアイデアが浮かぶかなと感じると、仕事を持って向かいます」。持ち物は、ノートに鉛筆、そして本。「家の近所なので、行きたいと思った時にすぐ歩いていけるのがいいところ。園内にある日本近代文学館には、カフェ〈BUNDAN〉が併設されていて、書き物ができるところも気に入っています」。時には創造活動以外で訪れることもある。「仕事と仕事の間に、本だけを持って息抜きに行くこともあります。公園の魅力は、緑と土があるところ。人やモノと距離がとれて、体を緩められるんです。芝生かベンチでそっと仰向けになると、目の前に空が広がって、すーっと力が抜ける。おすすめです」
東京都目黒区駒場4−3−55☎03・5722・9741。9時〜16時30分。月曜休園(祝日の場合、翌平日休園)。園内にある旧前田家本邸洋館は、9月末まで休館中。
石神井公園
芸名でもある“公園”は、なくてはならないもの。
〈石神井公園〉を初めて訪れたのは5年ほど前。「友達と『孤独のグルメ』でお馴染みの休憩処〈豊島屋〉に行こうと。昔ながらの小上がりでいただくビールとおでん、最高です。三宝寺池の周りは緑が深くて周囲の建物が見えなくなるポイントがあり、ハイキング気分が味わえるのがいい。子供を遊ばせながら台本をチラ見したり、ぶつぶつと台詞(せりふ)を繰り返すこともしょっちゅうです」。近藤さんにとって公園とは? 「芸名にもさせてもらっていますし、なくてはならない存在。日々の生活にも欠かせない場所です。地方出身で自然に馴染みがあるので、少しの時間でも公園に行くことが自分自身を確認する大切な時間になっています。“公園、いつもありがとう!”ですね」
東京都練馬区石神井台1−26−1☎03・3996・3950。園内には、三宝寺池、石神井池、石神井城跡などがある。起伏に富んだ武蔵野の自然が残されている。
井の頭恩賜公園
大島弓子ファンと楳図かずおファンの聖地です。
穂村さんにとって〈井の頭公園〉は「大島弓子ファンと楳図かずおファンの聖地」。「好きになったのは、大島弓子さんの漫画に出てきたから。その後、初めての本に推薦文を依頼したくて、公園に隣接する大島さんの家を編集者と探しました」。その思いは初歌集『シンジケート』の帯文で実現。「園内にあるカフェでよく行くのはオープンな感じがする〈ペパカフェフォレスト〉。カフェスタンド〈ブルースカイコーヒー〉で飲み物を買って園内を歩くのもいいですね」。楳図かずおさんを見かけた時は後をついていき、同じ喫茶店に入ったとか。「仕事では2度ほどお宅に伺いお話しさせていただいていますが、プライベートでは緊張して話しかけることができないんです」
東京都武蔵野市御殿山1−18−31☎0422・47・6900。大正6(1917)年に日本で初めての郊外に位置する公園として開園し、昨年5月、開園100周年を迎えた。