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イノベーションの歴史の陰に珍品アリ。 Special Contents BRUTUS No.894

Special Contents イノベーションの歴史の陰に珍品アリ。

企業は日夜、技術開発に取り組み、時に社会を動かすほどのプロダクトを生む。だがしかし名品誕生の裏には、試行錯誤の末に生まれた数々の“迷”作の数々が。「ナニコレ?」な珍シューズから、テクノロジーの軌跡を辿る。

1975

初のシューレース構造と
“N”ロゴのない初期作。
NEW BALANCE/320

NEW BALANCE/320

発売年のNYシティマラソンで「320」を履いたトム・フレミング選手が優勝し市民権を獲得。爪先まで紐を通さないという大胆なシューレース構造“インステップレーシング”を初めて採用し、足先の可動域を広げる単純だけど刺さるテクノロジー。このモデルには“N”ロゴがなく、翌年の「M320」が“N”ロゴを配したファーストモデルとされる。


1981

3本のピンを抜き差しして
クッションの硬さを調整。
ADIDAS/LA TRAINER

ADIDAS/LA TRAINER

80年代に突入しクッショニング技術はさらに進化。そんな中アディダスは、ランナーの体重や地面の種類に合わせてクッショニングを変えられる革新的シューズを発表。その仕組みはヒール部に組み込まれた3色の硬さの異なるピンを入れ替えるという、正直まだまだアナログな技法……。ピンの抜き差しは専用の鍵で行うという、なんとも原始的な方法だった。


1993

光るスニーカーの火つけ役!?
LEDを踵に内蔵。
ASICS/GEL-NITE LYTE

ASICS/GEL-NITE LYTE

“エレクトロニックシステム”を搭載し、足が地面に着いたときに踵に埋め込まれたLEDランプが発光する「ゲルナイトライト」。夜間でも安全にランニングができるとあって、翌年には同機能を搭載した後継モデルも発売し、ひそかな人気を博した。皮肉にもランニングシューズとしての機能が評価され、光らなくなっているのに使用しているユーザーが多かった。


2006

走ることに楽しみを加えた
iPod連動スニーカー。
NIKE/NIKE+ iPod SPORT KIT

NIKE/NIKE+ iPod SPORT KIT

今見ると子供騙しのようだが、当時は夢のようなシューズだった。ラン中の音楽再生やデータ管理を実現した「NIKE+ iPodスポーツキット」は、シューズに内蔵する小型センサーとiPodに取り付けるレシーバーを用いる“ワークアウトシステム”を採用。走行距離などをその場で確認することができたが、歩幅でカウントしていたので距離にズレが生じるのが玉に瑕(きず)だった。

ブルータス No. 894

愛と欲のスニーカー。

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ブルータス No. 894 —『愛と欲のスニーカー。』

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