師匠から弟子へ。受け継がれる言葉。 Special Contents BRUTUS No.930
Special Contents 師匠から弟子へ。受け継がれる言葉。
大事なことはメモれ、コピれ。ましてやそれが尊敬する師匠の言動ならなおさらだ。“永遠のベストセラー”新約聖書がそうであるように、「弟子が師匠について書く」というのは、本の原点と言っても過言ではないのかもしれない。なにより古代ギリシャから、少女漫画の現場まで、師弟関係の話はいつだって面白いのです。
師匠ソクラテス
弟子・プラトンが記した「師匠」の本
『ソクラテスの弁明 クリトン』プラトン/著 久保勉/訳
不当な告発により法廷に立たされたソクラテスは、死刑を恐れることなく、自らの考えを訴える。死後も裁判の是非をめぐって議論が巻き起こる中、師の弁明を作品にまとめ上げることは、無実を証明するとともに、その偉大さを後世に伝える手段でもあった。岩波文庫/520円。
師匠武智鉄二
弟子・松井今朝子が記した「師匠」の本
『師父の遺言』松井今朝子/著
伝統芸能に精通した評論家、異端の演出家など様々な顔を持つ昭和の巨人、武智鉄二。彼に「跡継ぎ」と見込まれた著者は、毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人生と、共に過ごした濃密な時間を描く。その筆致は、年の離れた異性だからこそか、時に容赦なく、愛に溢れている。NHK出版/1,600円。
師匠美内すずえ
弟子・笹生那実が記した「師匠」の本
『薔薇はシュラバで生まれる ―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―』笹生那実/著
美内すずえ、くらもちふさこ、樹村みのり、三原順……少女漫画レジェンドたちのもとでアシスタントをしていた著者。名作の生まれる現場で感じた美しい志や、宝石のようなエピソードを惜しみなく漫画に結晶させた。イースト・プレス/1,091円。