セットリスト決定! 厳選21曲クロスレビュー Special Contents BRUTUS No.933
Special Contents セットリスト決定! 厳選21曲クロスレビュー
3時間を超える会議も終わり、ついに決定した空想セットリスト。このパートでは、ミュージシャンのミト(クラムボン)さん、小出祐介さん、詩人の文月悠光さんに、アイマスの音楽21曲をそれぞれの視点でレビューしてもらった。多彩な音色とアイドルの心情を綴った歌詞に、3人の“言葉”と“音”のプロの目が光る!
#2「CRIMSON LOVERS」アイドルマスター
天海春香(CV:中村繪里子)、如月千早(CV:今井麻美)
765プロのアイドル・天海春香と、如月千早が歌う曲。変拍子に転調、プログレ色が強い。ちなみにベースをUNISON SQUARE GARDENの田淵智也が演奏している。『THE IDOLM@STER MASTER PRIMAL ROCKIN’ RED』(2017年8月22日発売)に収録。
女の子が 女になるのは
簡単じゃない 劣化はできない
愛せるかな きみは私を
熟成してく 真紅のワインを
簡単じゃない 劣化はできない
愛せるかな きみは私を
熟成してく 真紅のワインを
(CRIMSON)約束交わすより
(LOVER)綺麗と感じちゃう
(CRIMSON)そっと結んでくれた
赤い糸
刺さる 爪が 割れてる 小指
強気 弱気 切ろうか 知りたい
リスク承知で 大好き 魔法をおくる
進化した私を気にいっている
アイドルソングにしては
ベース音の質量が大きい。
ポップだけどトリッキー。それといい意味でアンバランスな声優の2人の声が乗るのが面白いと思います。あと、普通のアイドルソングと比べてベースの質量が大きすぎですよね(笑)。プログレって言うけど、メロはエモとかポストロックですね。バンドで言うとowlsみたいな。男子が声高に歌ってもありなんじゃないかな。
複雑なアレンジでかつ
声優たちの声も良い。
この曲はアレンジが複雑であるということに加え、メロディもトリッキーですが、噛み合っているんですよ。複雑だからこそ、あえてサビのメロディを一音で引っ張る構成にしていて、これがとてもキャッチー。オケが主張しすぎず、声優さんの声がしっかり前に出てくるように仕上げられてもいますね。バランス感覚が素晴らしい。
音の押し引きが新鮮、
とても面白い曲ですね。
曲が複雑で、AメロBメロは歌詞が頭に入ってきづらいのですが、一転してサビは声が鮮明に聞こえるようになり、一曲の中で音の押し引きがあって面白いなと。ヒリヒリした男女の駆け引きを想起する内容も、そういった楽曲の雰囲気に合いますね。聴き終えてまた頭から聴きたくなる、スルメ曲の予感がします。
#17「DRIVE A LIVE」SideM
315(サイコー) ALLSTARS
歌詞に「SideM」とブランド名が入るまさに代表曲。ライブでは全ユニット合同で歌われる。これまでに、ユニットごとに歌唱したバージョンが発売されたが、『THE IDOLM@STER SideM 5th ANNIVERSARY DISC 01 PRIDE STAR』(2019年12月18日)で315プロの46人全員歌唱バージョンが収録された。
ずっとずっと その先へ
世界は動きだす
今 始まるストーリー SideM
世界は動きだす
今 始まるストーリー SideM
見上げる空へ Fly To The Sky
昨日より遠く高く
声が聴こえる So Faraway
見えない虹の向こう
心が叫ぶ Shaking My Heart
まっすぐに前を向いて
光の中走りだせ 響けメロディ
46人による歌唱から、
声がカラフルに聞こえた。
いわゆるアイマス然とした全体曲ですね。あと、46人全員のバージョンを聴いて、「そこまでの人数が拾えるのか!」と驚きました。この曲によってSideMの声質のバリエーション、そのカラフルさが見えたと思います。このカラフルさがアイマスブランドだと思うし、男子アイドル系のコンテンツでも、筋を感じさせますね。
餃子食べたあとの
水めっちゃ美味い!
ド直球の曲ですね。大人数で歌う全体曲なのでキーが低めに設定してあって、なるほどと思いました。今回のセットリストで「MOON NIGHTのせいにして」の次だと思うといい展開。「王将で餃子食べたあとの水めっちゃ美味い!」ってなる感じというか(笑)。油っぽいもののあとにはさっぱりしたものが来て、えらい。
リアルアイドルも
歌っていそうな曲。
「今 始まるストーリー SideM」とか、デビューシングルみたいなイメージなのかなと思ったんですけど、すごく手堅い作りですよね。最後のサビ頭でバックの音を抑えてボーカルを強調して、途中から音を上げていって盛り上げていく展開は、現実の男性アイドルが本当にこういう曲を歌ってそう、というリアル感がありました。