マガジンワールド

マンガがあれば大丈夫。 From Editors No.917

From EditorsNo.917 フロム エディターズ

マンガがあれば大丈夫。

企画を動かし始めたのは、STAY HOMEが始まる前だったのですが、奇しくも時節に合った特集になってしまいました。
マイペースで楽しめて、想像力だけでどこまでも行けるマンガは、言うまでもなくおこもり生活の最強のパートナー。
テレビでかまいたちの山内さんが、「うつ伏せでマンガを読んだまま寝落ちして、起きた時に頭がしおりのようにページにはさまっているときの喜び」について語っていましたが、それもなんかわかります。
テレワーク体制で「仕事、仕事」と言いながらひたすらマンガを読み耽っていた私を、家人がどう思っていたのかは気になるところではありますが。

ところで、最近のマンガってタイトルが凝っているものが多いですね。
『青野くんに触りたいから死にたい』『一生好きってゆったじゃん』『夢中さ、きみに。』『夏がとまらない』『さんかく窓の外側は夜』『波よ聞いてくれ』『水は海に向かって流れる』『ここは今から倫理です。』……並べてみるだけで、一編の詩にもなりそうな。
タイトルに含まれた余韻が、内容を知りたいという欲求をかきたてます。
物語の序盤ではタイトルの意味がわからないままというような作品もありますが、作者がそこにかけた思いを推し測りながら読むのも楽しい作業です。
振り返って、我がBRUTUSの今回の特集タイトルは「マンガが好きで好きで好きでたまらない」。
どうでしょう? この余韻のなさ(笑)。
いいんです! マンガ読みたちのマンガ愛が詰まったこの特集、ストレートに伝えるタイトルとしてこれ以上のものはないのです。

●中西 剛(本誌担当編集)
BRUTUS 917号:From Editors
今回の特集で出会ったマンガの中で個人的なナンバーワンは田島列島さんの『水は海に向かって流れる』。高校生の男子と下宿先の気になる年上の女性。それを取り巻く登場人物のすべてが魅力的で、ひとつのセリフに一日じんわりしたりすることも。次話の掲載を待ち遠しく思いつつ日々を過ごすという少年時代の気持ちを取り戻しています。


ブルータス No. 917

マンガが好きで好きで好きでたまらない

700円 — 2020.06.01
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ブルータス No. 917 —『マンガが好きで好きで好きでたまらない』

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