一度観た作品もまた観たくなる。映画人が語る、映画愛を! From Editors No.927
From EditorsNo.927 フロム エディターズ
一度観た作品もまた観たくなる。
映画人が語る、映画愛を!
今回の特集では、「作り手たちが語る監督論」を担当したのですが、どの方も溢れんばかりの映画愛に満ちた方ばかり。そこで、誌面では語りきれなかったこぼれ話を少し。
スタイリストの伊賀大介さんに、衣装から見た監督論について取材させていただいたときのこと。衣裳が印象に残った映画(2010年以降の公開作品)をリスト化したメモを見せてくださいました。アリス・ウー監督の『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』、ジョナ・ヒル監督の『mid90s』、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アンダー・ザ・シルバーレイク』、ボー・バーナム監督の『エイス・グレード 世界で一番クールな私へ』など、誌面に紹介できていない作品も含めると30作品以上がラインナップ。
「たとえば、『エイス・グレード 世界で一番クールな私へ』では、主人公がプールに入るときの水着の絶妙なサイジングが完璧で。学校内のイケてるグループが集まっているので、水着にはならないだろうと思ってたら、まさかの展開! 自意識が揺れ動きまくる様を見事に表現していると思いました。また、2018年のアカデミー衣裳デザイン賞を受賞した『ブラック・パンサー』の衣装を手がけたルース・E・カーターも自分のルーツをわかったうえで作品を生み出している。Netflixの『アート・オブ・デザイン』を見ても彼女の信念がわかって、面白いです」(伊賀さん)。
伊賀さんもおっしゃるように、作り手のドキュメンタリーや監督の人生を紐解くと、なぜその作品が生まれたのかを知ることができ、一度観た映画をまた観返したくなるもの。今回の特集『映画監督論』は、改めて過去作も観たくなるような監督を知る裏話がたくさん詰まっているので、ぜひ参考にしてみてください。
ちなみに私は、グレタ・ガーウィグ監督やウェス・アンダーソン監督のような衣装も交えたトータルの世界観が美しい映画が好きです。