ものは人を語る。使っているものを見ればその人らしさがわかるもの。 From Editors No.928
From EditorsNo.928 フロム エディターズ
ものは人を語る。
使っているものを見れば
その人らしさがわかるもの。
今回の特集で取材先の人に愛用品を見せてもらうことが多かったわけですが、改めて「らしいな」と思うことが多かったです。
たとえば、アートディレクターの平林奈緒美さんのオフィスは、テープカッターやポストイットにいたるまで、デザインも機能も無駄のない道具に囲まれていました。平林さんの合理的で簡潔なグラフィックが、この道具たちから生まれるというのは納得させられる感じ。
また、小説家の津原泰水さんの作品を生み出す万年筆は、鳥取で誂えているカスタムメイドで、それ自体がストーリーを含むものでした。イカ墨のインクは顔料なので永久に薄れず、その手稿も時を超えて物語を語り継ぎます。
そんな感じが面白くて、特集に登場する方々のコーヒーカップを、ずらっと並べて見せるページも作ってみました。たかがカップひとつに、不思議とその人らしさが滲み出てくるようで。やはり、ものは人を語ります。
●中西 剛(本誌担当編集)